PAVEL, 9'3" Plan B
2024.02.02

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と、呼んでおきましょう。なんせ、まだリッチとモデル名を決めていないのでね。

少し前にも紹介したこの板は、パッと見は普通のロングボードの印象でしょう。ある意味それは正解で、確かにこの板のデザイン・コンセプトは"すごくいい、普通のロングボード"なんですから。

ここではログとか呼ばずに、あえてまっすぐにロングボード。
なんせ最近は動画系メディアでうじゃうじゃ出てくるロングボード・サーフィンの一定数はどれも似たようなサーフィンとアプローチが見られて、そのシーンで流行ってるとされる系のデザインとそのサーフィンをログってね。

そのログはロングボードっていうよりも今っぽいらしいのか、スマしてログなんちゃって。
実はログっていう呼び方は昔からありまして、それこそ80年代の後半から始まったロングボード復興の盛り上がり始めたしばらく後には一部の人たち(カリフォルニアで、だけど)がログって言った。

それらの言われ方のニュアンスは色々だったのは、当時のハイパフォーマンス系からノーズライドをトピックにしたクラシック系への流れの中で、オーセンティックでトラディショナルなデザイン・シェイプを継承したロングボードとその波乗りが、あえてのその呼び方の本筋だったと言えるはず。

一方でロングボードに手を出したか出さなかったかは別にして、と言うのも、当時はストレートにロングボード・サーフィンを喜んだサーファーもいれば、シカトあるいは俺は乗らねえよと横目だったサーファーでも結局はいつかどこかでロングボードと仲良くなったサーファーも少なくなかったんですね。
そういった気分のサーファーの目線でログと、丸太だべって感じの向きも少しはあった。

そんな感じで私はログという呼び方には、特にそのような時代の変遷も通ってきた今では、本物のトラディショナルなクラスこそ相応しい。
時代は繰り返す、なんて言うけど、いや実際はそんなそのまま繰り返すなんて同じじゃないだろうし、それは別にしてそういう変遷の過程の色々を積み上げて行き着くのはもっとも装飾性が省かれたおおらかなロングボード・サーフィン。
真の、SLIDEとGLIDE。
ロングボード・サーフィンもそろそろ取り戻す時が近いのかな、と。

随分、話が回り道したけど、今日のこの板は今お話ししたトラディショナルとはまるで生息域は違うけれど、言わばロングボードをなんと呼ぶのかとか言う前の、ロングボードであり何よりも"サーフボード"。
モダンデザインのね、それがコンセプト。

サーフィンが爆発的に面白くなったのは、ターンの発達。
だからこの板は、ターンとドライブ、それが大基本。そこにそのサーファーが表れる。
その波乗りのいくつかのオプションにはノーズライドもあって、しかしその大基本をスポイルするデザイン要素にはなってない。

そうやって見てみると、今日のこの板がコンセプトにするような、本来のど真ん中デザインは多くないことに気がつくはずです。

そういう板です。
ちなみにオーダー主さん、黄色系好き(とはいえ、どの板にでもないんだが)で何か黄色で、ということでこんなふうな仕立てにしてみました。
そうなんです、そこにもぱっと見の特別感を持たせないで、だけど色相も深度も違うニュアンスの2色をそれもあっけない雰囲気でピンも引かずにね、と。

フィンもリッチが持ち込んだウッドコアを奢りました。
もちろん仕事は、ウルトラ・ハイクオリティ!

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