PAVEL, 8'6" FRESH FISH Twinzer Twin
来日山王製作を始めてから、コロナ禍で3年の空白期間を含むとはいえ、かれこれ15年。リッチがフィッシュフライへの参加を兼ねてはじめて家に訪れたのはその数年前。
私とエムズがPAVELボードの輸入元を始めてから20年以上、てことはリッチと出会ってから25年くらい経つってことですか。
もう最初っから彼のデザインとシェイプ、その板には衝撃を受けっぱなし。
その素晴らしいサーフボードの何がどうすごいってのは、その時からずっと伝え続けていますが、私が会った頃にはすでに世界中でリッチの顔も見たことがないサーファーたちにもPAVELの板について知られ始めていたことを思い出します。
日本でも同じ。きっかけになったのは日本では15年ほど前からムクムクと起こり始めたFISHの再興。
再興、ってくらいなので元々の起こりはずっと昔、60年台の終わりのオリジナル時代まで遡る。カリフォルニアでは80年代の後半頃にはその再興が始まっていて、もちろんエムズはそれ以前もFISHを提案し続けていましたが妙なブームの火付はまずいので、幸いなことにまだネット以前でもあったので声が届く範囲で紹介していました。
ただし良いFISHはいったん知られ始めれば、当然ですが勘のいいサーファーを巻き込み始めて、今じゃ"あんなノーズの大きい板には興味ない"って言ってたメーカーさんもウチにもありますよってな塩梅だ。まあいい。
そんなわけでFISHをきっかけに日本でも注目をお詰め始めたリッチ・パベル。いつも色々な板を紹介しながら山ほどお話ししてきているように、彼のデザイン・シェイプ・サーフボード作りの精通度の高さは一頭ず抜けているどころか遥か高高度に達していて、特に来日製作が始まってからはそれらを色々なかたちと方向性を持ってお伝えしてるというところも、よくウォッチしていてくださる皆さんはご存知の通り。
FISH再興が進んでリッチがスピードダイアラー・コンセプトをもって全く斬新なクアッドフィン・セットアップと同名の板をリリースすると、一斉に多くのフォロワーが現れて現在ではクアッドというそのものが一つの絶対性を持つまでに至りました。
が、それは単にフィンの数となんとなくのセッティングでは断じてなくて、本来はボードデザイン・シェイプ・フォイルと連携したフィンセットアップです。
多くのフォロワーのうち、ごくわずかな製作者がそのワケを嗅ぎつけたりしてもいますが、そのフォーミュラの構成ピースは学ぶチャンスがあってはじめて揃うのは理の理。
てなわけでリッチのデザインするフィンは、当たり前だけどそのサーフボード同様に、なんで?ってくらい非常に高い機能性をあちらこちらで証明しています。
つまりグラスオンされるフィンはサーフボードそのもののソリッドな体験に限られますが、拡大しているリムーバブル・フィンのマーケットではフィンだけでもその高い機能性を(少なくとも一部は)発揮するからですね。
さて、今日紹介するこの板にビルトインされたフィンプラグは、TRUE AMES / PAVEL TWINZERにフィットさせたもの。
板そのものがリッチ・デザイン&シェイプですから完全なフィットであるのはもちろんですが、この板の場合はツインザーでもツインでもどちらにも最適化されたセッティング。
まあ、どんな板でもそのフィンが着けたり外したりできるのであれば2本にも4本にもなりますが、リッチのデザイン・シェイプする板は"穴の数だけどうにでも"ではなく、その板のデザインによってマルチが可だったり限定的だったりもします。
そもそもTRUE AMESから販売されているPAVEL TWINZERフィンセットは、PAVELボードとの組み合わせではその板によってツインザーでもツインでもという拡張性を持ったセッティングができるものもあります。
この板はその例です。
2つの違うセットで明快にキャラクターの違う波乗りが楽しめます。
リッチによると、PAVELボード以外でも板のオーダー時にメーカーにプラグのセッティングを、メインのツインをFUTURE、スモールバイトをFCS / FUSION FCSのリクエストをすれば2つの機能性をかなり高いクオリティで楽しめるはずである、と。
そう言えば、すでにPAVELボードを楽しんでいるサーファーは思い当たると思うのですが、リッチがツインザーをまた新たに磨き直して提案し始めてからけっこう経ちますが、ここ2年くらいツインザーをメニューに加えるシェイパーさんが増えてません?
ね?!