

エムズは今日から年末年始の休みをいただいています。うちの地元、昨日の波は今日はもう、うんと下がってしまいました。
このトピックスのポスト、今日はですね、ちょっと凝ったテーマの小話をおひとつ。
というのもエムズのサイトには、backdoorと名付けた、そのコンテンツ名どうりの裏話というか斜め見というか、ちょいちょいスパイシーなワードも含めた、ひねった話を書いている隠れコンテンツがあります。
今年は忙しさにかまけたワケではないのですが、何やら手が空くことが少ないのが続いてbackdoorへのポストが手薄。
そのような中身の処なので、長文になる傾向のポストだからですね。
その代わりということでもないのですが、最近扱った1本の板が持つある特徴と、同じくたまたま目に入ったインスタのポストにあった板の写真の共通点、そいつで小話。
時々、お馴染みさんやお客さんからbackdoorを楽しみにしてますという嬉しいお言葉を聞かせていただくことがあって、そうは言ったってエムズはマイノリティの隠れ家と砦みたいなもんで類は友を呼んでというところに私、感謝と満足。
そんなわけで今日はここトピックスではありますが、思いついたので。
タイトルにある、Hawaiian cut / ハワイアンカットの本文に行きましょう。
ちなみにBrewerラミネートが逸品の証、2本のGUNの写真、Instagram / @unculdave さんからお借りしました。
最初の写真は、PAVEL Race Tracker。
デッキのインセットにブルーのGUNはボトムを白のピグメントで巻いた、サム・ホーク・ブルーワー。
イエローティント・ボトムはブルーワー。

この3本に共通する1点、なんだと思います?
ちなみにレーストラッカーはガニーではあるが、ストレートなGUNカテゴリーとは違います。
ヒントはすでにタイトルの中にある。
さて、ハワイアンなのかカットなのか。
クイズめかしてみてもスクロールするだけだから、答えは、カット。
3本に共通する1点、ラップカット。3本ともレジンカラー・ラミネーションですからレールをラップするカットのプロセスがありますが、そのカットラインに特徴があります。
レールに沿ったラインが見えますね、それです。
レーストラッカーは写真の都合で見えにくいいかもしれませんが、よーく見てみてくださいね。
どの板もワイドポイントに向かってラインが細くなっていて、ノーズとテールではそのラインが広くなっているのが分かります。
もちろん3本それぞれにその広さの変化の割合には違いがあります。
これ、ハワイアンカット、なんです。
デザイン的なとらえ方をしてもありなんですが、機能的なワケがある。
ある時期、ハワイのガンによく用いられた手法ですが、GUNていうところにそのワケとメカニズム。
1本の棒をイメージして、その棒の両端の太さよりも真ん中あたりがちょいと細くなっている様子、ね。
棒の両端を両手で持って、たわませてみると、真ん中あたりはよくしなるでしょう。
ハワイでガンは大波だわ、それも特大の。
その波で乗られるサーフボードだからサーファーがワイプアウトすれば、板は相当大きい破壊ストレスにさらされます。
折れる、なんてのはしょっちゅうということになります。
この、折れるのメカニズムに注目しましょう。
板が折れる時(もちろんその部位も含めて、色々なシチュエーションがあります)、まあ典型的な真ん中あたりで折れる、を想像しましょう。
その時板は、しなる、の限界を超えてその結果折れる。逆に言えばドンと強烈なインパクトが板を襲った時、よくしなれば、ちょっと折れにくい。
それがハワイアンカットの機能性です。
シェイプが上がったGUNに、折れ方向のストレスを少しでも与えるためのグロスプロセスでのテクニックです。
インパクトに対してできるだけしならずに抵抗するのではなく、最も折れるリスクの大きいエリアがしなる性格を与えることで、折れるの前で堪えてくれ、と。
もちろんそのしなりがライディング時の外力に必要以上に現れたりなどの、波乗り全体での動的状況との折り合いをバランスさせるノウハウはビルダーの必須です。
話が後になりましたが、このラップカット部は通常グラスが3層になります。ですからこのパートはこのように、強度とフレックスやトーションフレーム的な役割などもあります。
このラップカットには、よく治具に刃物を取り付けて均一にグラスをカットする手法が用いられますが、その場合たいていは刃物がフォームにわずかな跡を残しやすい。
この刃の跡がいろんな意味でやっかい。
そこでフリーハンドで切るテクニックがあるんですが、これが言うよりもずっと高度な技を含みます。
そういや、少し前に届いたサーファーズ・ジャーナル日本版の小さな記事の中に、ラップカットの後のテックのひとつが紹介されていたっけ。
さて、これはサーフボードだけに限った理屈ではないのですが、少なくともサーフボードでは何かしらカーブを持つラインが、均一にデザインされがちなパートでカーブに変化が与えられているとき、それが"いいシェイパーのいい板"であれば大事な働きをしているもんです。もちろん見かけだけじゃやなくて、他のパートと連携あって、ね。
乗り手が知っていても知らなくても。
いやね、知らなくてもいいんです。要はそう言う板をつかめば、サーファーかなり幸せ。
















