リッチ・パベル、今年の来日山王製作ではVELZYのスペシャル・プロジェクトのシェイプも進んでいます。
モデルはMCことモダン・クラシック。
そうです、VELZYクラシックラインの代表モデルにして究極。
デイル・ベルジー存命中から親交がありシェイプルームでも少なくない時間をデイルと共にしていたリッチは、VELZYボードのデザインを学んでトレーニングをした上で現行VELZYのシェイピング・スタッフに加わってからすでに10年ほどが経ちます。
リッチ・パベルは世界でもトップのデザイナー・シェイパーとしてその独創性の高さとサーフボードの圧倒的な性能の高さで知られていますが、一方でVELZYボードのシェイプというミッションにおいては彼自身のデザイン性を封じて何よりデイル・ベルジーのデザイン・シェイプの再現性のためにシェイピング技術とクオリティが発揮されなければいけないという点が全く違います。
リッチのデザイン・シェイプにおけるメモリー容量と質の高さに長年彼のシェイプを見てきた私はいつも驚かされていて、それは今年のVELZYプロジェクトでも発揮されています。
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エムズには当然ながらデイル・ベルジーの手になる貴重なVELZYボードたちがラックや倉庫に収まっていますが、リッチは今回のプロジェクトの途中でショップに来てそれらの板たちを見て触ります。
もちろん彼はそれらのデザインを吸収済みですが、こういう作業というかチェックは確認というよりもボードの全てのパートに触ってフィーリングを感じるため。
それをまたシェイプルームに持ち帰ってシェイプのフィニッシュに同じ感覚を呼び戻すという流れ。
特にレールについてリッチは、"このレールはすごいね、レールを流れる水が喜ぶようにできてる!"、と言いながらサンディングブロックをレールに絡む水のイメージで運んでフォイルを整えます。
一見シンプルに見えるデザインのボトム・コンツアーも、カーブによる面変化の中にティアドロップのような形状のパネル様のパートが接続線の折り目無しに溶け込んでいるVELZYの特徴を完全再現します。
またこの日リッチと私でもうひとつ話題になったのは、ダウンレール x エッジのずっと以前に編み出されたデイル・ベルジーのこのデザインが、すでに今日の私たちが馴染んでいるターンとドライブを持っているところ。
リッチはこれをフォイルを含めたロッカーレイアウトで説明していたけれど、それはついテールエリアで見てしまいそうになるところを、少なくとも上で話したプレーニングパネルの配置と面変化からとっくに始まっている連携。
このプロジェクト、急に今始めるのではなく、実はこのモデルを通してず〜っと前から発信し続けていることの線上にもあります。
つまり流行りも廃りもない、このデザインによるサーフィンはロングボード・サーフィンのトラディションであり、シンプルに純度そのもの。
ですから私たちの限られた製作フロウの中で、時々に表現しようというわけです。
流行らそうとかいうんじゃないです。こういう波乗りに感じるサーファーと繋がると嬉しい、そっちが私たちのミッションですから。
本物ですからね、かっこいい板に仕立ててお見せしますよ。