今年6月の来日山王製作でカスタムオーダーで製作して納めたこの板、FANTASTIC ACID 11'0" Triplane V-Bottom 作者トリスタンにとっても今までこのモデルとしては最大サイズ。
彼自身はサイズに限定範囲は無いものの、少なくとも今まででは6+くらいから9+くらいの範囲でオーダーに応えてきた。
S氏はクイーバーのメインが11フッター中心というビッグボード・エンスージャスト。
この数年、世界的にもビッグボードの生息数が少しづつ増えてきましたが、その多くはわりとデザイン指向が集中する傾向だけど、S氏はクイーバーをそういうティピカルなデザイン・シェイプの範囲に留めずに、オーダーの相談を受ける私も"そう来るのね!"と思うようなアイデアを投げてくる。
この 11' V-Bottom もそのひとつで、オーダーを受ける前にトリスタンに十分な相談をしてからプランを練りました。
で、ちょうど昨年トリスタンはこのモデルにトライプレーンパネルを組み合わせたバージョンを追加していて、このサイズにはそちらを採用するが吉だろうという判断。
まあ、乱暴に言えば、どでかいトラックに超クイックで軽いパワステよりも少し重めのパワステの方がいいだろうとでもいう事。
それでもこいつはV-Bottom、当たり前のデザインじゃ無いんで、ものすごく敏感で動作量も大きいレールのレスポンスを持つ。
だからS氏、最初に乗った時は、安定というものはこの板にはありません、と知らせてきた。
その代わりものすげえ速さと勢いと、恐ろしい回転性、とも。
ところが数日前、波乗りを繰り返して板に慣れてきてからの知らせは全く違う話。
つまり、安定しないなんて話はまるでウソで乗る所に乗ってやればビタっと安定してそこからいとも簡単にあのサイズの板が自由自在に回る!、のよと。
強烈な速さは相変わらずで、新しい発見は最初が割れ始めがちょっとワイドなベロっと掘れるテイクオフでも走り出してすぐきゅっと回して横に逃すなんてのもめちゃくちゃ簡単で安全なんですよ!、しかもその時のレールホールドが早くて確実、ですと。
最初と話がぜんぜん違うじゃないの?、というよりも作者トリスタンのイメージとデザインが正しく行われればこのカタチはそのように働くのが夢の実現。
トリスタンにもS氏のその話をしたら、よっしゃ、そうだと思った!、との返事。
しかも、最初はちょっと難しく感じるはずだと思った、ですと。
トリスタン、最も深く深くハルと対話しながらデザインとシェイプを深化しているのと同時に、本物のビッグサーフをビッグ・ハルで積み重ねているのはそのまま正にリアルなデザイン力に加えられるんで、あの小柄でソフトで控えめな人柄の彼が波乗りとサーフボード・デザインにおいては無制限の解放と創造性を見せてくれるのは本当に信頼できる。
ちなみにレギュラーのV-Bottomのトリッキーなレスポンスも私は大好きで、似たもののない別なハッピー・サーフィン
どちらを選ぶかは、例えばこのケースのようにボードサイズかもしれないし、好みによってもでも良いでしょう。
トリスタンは来年も戻ってくる気満々・やる気満々なので、アシッド・ボードのオーダーを考えている方は、ぜひお早めに相談を始めましょう、お待ちしてますよ!