PAVEL Bonzer, ボードルームショーへ
2023.09.16

230915_66_1.jpg230915_66_3.jpg6'6" Bonzer 5fin,


リッチは3本のボンザーを山王で製作してホームに持ち帰りました。 経緯は先日のポストでちょこっと紹介しましたが、リッチ・パベルにとっては彼自身が言うように自身のシェイプを世界でもベストなクオリティとクラフトマンシップで作り上げる事ができるのが、実に山王ファクトリーなのです。

今までにも特に請われた友人たちの板をごく僅かな数ではありますが、何度か山王で製作して持ち帰っています。すると、その板を見た周囲のサーファーたちがそのクオリティと出来に驚き、そしてエクストラコストがかかっても求めたいと申し出をするのですが、何せ私たちは日本のサーファーのために限られた本数のPAVELボードを作るのが精一杯、そして本筋。

口はばったいですが、皆さんが喜んでくださるPAVELボードが、世界でもどのような水準にあって評価をされているのか、このシンプルな真実をぜひお伝えしたいです。
リッチがいつも日本へ、山王へ戻ってくる意味。

230915_70_1.jpg230915_70_2.jpg7'0" Golden Egg Bonzer 5fin,


さて、この3本のボンザーは今年のボードルーム・ショーに出展されます。
もうずっと前になりますが、10数年前にサンディエゴで始まったサクレッドクラフトという、サーフボードビルダーとメーカーだけをフィーチャーするイベントがありました。

会場もコンベンションセンターなどの華やかでお金がかかるところではなく、デルマー・フェアグラウンドというでかい広場みたいなところの質素な建物で。

出展者のブースも金かけた金キラじゃなくて、簡単な壁が立ってるブースの中で適当に板を並べるといった風の手作り感のあるイベントでした。
ただ、カリフォルニアのサーフボード・インダストリーでも頭抜けてクオリティと意気の高い人々が集まるサンディエゴは、実は地元だけでなく特に70年代以降は他のエリアからそのような指向を持つビルダーたちが移り住んで集まったところでもある。

それだけにビルダー以外の、サーファーにもその文化をリスペクトする気風があって、イベントのタイトル通りサーフボードを尊いクラフトとして扱い、資金のあるメーカーがスペースと派手な演出で圧倒するなど論外。
代理店とかが寄ってくるものじゃなかった、少なくとも最初の数年は。
板もね、今ちまたでオルタナティブと言われるようなものが中心。

その後、イベントは噂が噂を呼び、世界の他のエリアからも来場者がたくさん集まるようになって、そうなると代理店なのかエージェントなのかなんかが放っておかなくて、いつしかイベントそのものがもっとコマーシャルな規模の大きいものに仕立て替えられて、主催者も開催権もビジネス志向のオーガナイザーへと移った、たぶん。

そんなわけでお金をかけた派手なイベントになって名称もボードルーム・ショーとなったこのイベントは、今や出展者も来場者も飛躍的に増えて、さらに世界中でも最も注目されるサーフボードショーになりました。

リッチは、リッチらしくショーにブースを構えることはしませんが、今回はベニー君が出すブースにこの3本のボンザーを置くつもりだと思う(そういや、そこ聞くの忘れました)。

ボードルームショーは毎年何かしらのアニュアル・テーマを設けているのですが、そのテーマが今年はボンザー。
出展者には必ずしもテーマに沿った出展内容が求められるわけではなくて、主催側が何らかの形でショーの中にあったボンザーから選んでいくつかのタイトルの表彰をする、はず。


230915_76_1.jpg230915_76_2.jpg7'6" Bonzer 3fin,


PAVEL Bonzerに乗ったサーファーはすでにご存知だと思いますが、リッチがデザイン・シェイプするボンザーは世界中でベストの評価がされています。
それもあってリッチは、じゃあ今年は山王で作ったボンザーを持ち込む事にした。

リッチはこっちにくる前から3本のグラスプロセスを決めていて、ボトムのインセットに特別なファブリックをインレイする事にしていました。
このファブリック、わたしゃ知りませんでしたがベロニカ某さんというチェコ人のアーティストにオーダーしたもので、とても薄い番手のシルク生地にハンドペイントしたもの。
彼女は主にフィジーあたりにいるらしく、ちょいちょい南洋界隈を動きながらこの作風。近年はヨーロッパのアーティストが南洋あたりに移ってくる傾向もありますが、そういやこのペイントにも何か融合性が感じられます。

ご覧の通り、美しい海と空とのイメージ(だと思う)。

で、リッチはデッキカラーとピンラインは私に決めてくれと言う。
私は山王製作ボードの多くのカラーワークを作る役割を担当していますが、カリフォルニアのショーに持ち込む板に私の嗜好はどうかね?、とリッチに問うたわけです。

だってさ、あそこでは主にプリティでラブリーな分かりやすいカラーが似合うし受けるじゃないの、たいていは。
だから私は地味じゃねえか?、と言ったんだがリッチは、いやCHANの感じでアイデアくれと言うのです。

ではやってみようという事に。
ファブリックそのものも何やらミックスのニュアンスがあるしね。つまりカリフォルニアとかハワイとかの綺麗じゃなくて、綺麗な中に抑制の効いたちょっとフォギーな気分模様もある、と私は感じる。
ならばデッキのコントラストには、レジンもティント・ハーフオパーク・オパークと3種類をそれぞれに。
フィニッシュもデッキ(先巻きでアンダーレールまでね)はグロスポリッシュ、ボトムのインセットはシルキーなウェットサンド・グロスに。

ちなみにサイドライナーも5フィン・3フィンそれぞれ全部ボラングラスのクリアで、写真では取り付けていませんがセンターフィンもリッチが追加で描いたテンプレートで同じくボラングラスで製作して持ち帰り。

この3本、離日の日までかなりギリギリの製作スケジュールでしたが、健ちゃんは鬼のやる気で見事なお仕事。
上げた、だけじゃなくて完璧!、さすがです。

ウケたら楽しいね。

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