Fantastic Acid, V-BOTTOM
2020.02.29

騒いでる私の方も、少しだけ意外なほど(とは言っても事はディープなハル世界、マイノリティの密かな楽しみがキープされているんですが)関心を持ってもらっているのが、アシッドのVボトム。
?

200229_VB_1.jpg
ディスプレイスメント・ハル専業ブランド、ファンタスティック・アシッドの中でもひねりの効いたこのモデル。

ディープなハル(ここはボトムの話ね)と、同じくディープでとても長い(ここがキモ)VEEパネルが、例によってアシッドならではの強烈なコントラストを持ってブレンドされています。
そしてレールのフォイルは、そのコントラストに見事に調和したボリュームと位置変化を見せながらノーズとテールに帰結しています。

200118_80VB_2.jpg200118_80VB_3.jpg

V-BOTTOM 、という名称は元を正せば60年代の終わり、ボブ・マクタビッシュがデザインしナット・ヤングらとともに世界(ったって、オーストラリアからハワイだカリフォルニア)を回って一世を風靡したのが始まり。

このVEEというアイデアはもちろん姿を変えて、90年代に入ってもすでに時代を獲っていたスラスターにもダウンレール系ロングボードにもほぼ標準装備されたくらいのベーシックになりました。
その後それらは皆、コンケーブ系へと舵を切ったまま。

しばらく前からレプリカ的な用いられ方で見かけることも始まっていたV-BOTTOMですが、ファンタスティック・アシッドのトリスタンはこのデザインを上にも書いたようなとても積極的なデザインへと変化させてラインナップに加えたのです。

一見すると豊富なカーブの集合である板の前2/3に、急激に2面の直線的な面と線に変化する後半1/3との組み合わせは、サーフボードの動きをイメージしづらいかもしれません。
ところがたぶん、なんとかイメージしてみたそれとは真逆にこの板、いざターンになるとものすごくまあるく回るのです。
明らかに長いテール寄り1/3の左右に分かれたパネルは、波の上という3Dな場面では長い平たいノコギリがしなりとねじれを加えられて波の面を切り回るのです。

そしてそのターンの入りはいかにもハルの、熱いナイフがバターに入る(なんて調子のいい話だ)ようだから、板を寝せたのが先か回るのが先か分からないくらい直結する感じ。
それはつまらない、というのなら、ちょいと逆目に深く回ればもっといい。


200118_80VB_1.jpg
そしてその長くて深いVEEのテールを水の中に最後まで止める役割をするのがテールのデッキに仕込まれた、同じく深〜いデカいVの谷。
デッキに流れる水はいかなる時もこの谷に吸い込まれて、テールを収め続けるのです。

とにかく、あらゆるサーフボードの中でこの板にしか無いフィーリングとラインで波乗りできます。
クイーバーに、加えがいのある板でございます。

ファンタスティック・アシッドは、7月デリバリー分のカスタムオーダーを受付中です。
ご相談・オーダーをお待ちしています!

200118_80VB_4.jpg200229_VB_2.jpg