ラスカル・ストーリー
2017.06.12

PAVEL 2017で完成・デビューしたニューモデルの一つ、RASCAL / ラスカル。
うんと幅が広くて、ボリュームもあるフィッシュ。このシンプルなアイデアがこの板のコンセプトです。

そういうの、他にもあるじゃない。と、思うでしょ。
だけどこの、うんと広い幅、というところが普通じゃないんです。
単に幅が広いだけなら誰でも描けるけど、ホントに上手く造れば特に日本の普段のコンディションでパドルや波のキャッチ、グライド性能に盛大なアドバンテージを与えるデザインになり得る。

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広い幅が持つ優性キャラクターをしっかり強調した上で、その幅が操作やマニューバーの邪魔にならない、ってものに仕立てるとなると誰でもができる仕事じゃないワケです。

ちなみに今日ここで紹介している2本のラスカル、グリーンのティントは7'0"で幅が23 3/8"、ブラウンのティントが6'9"で幅がなんと23 5/8"!
リッチさんの横にある画でも、どんだけ広いかが分かるでしょ?

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さてこのモデル、アイデアのきっかけになった板がありましてね、それが古い写真のリズ・フィッシュ。
14年前だったか、私の付き合い先の一つ、サンディエゴのダイアモンド・グラスにて。
あちこちの付き合い先をチェックして廻っている日にちょうどよく出来上がっていて、サイズは6ちょいちょい。
話の流れでもお分かりのように、これ、とても広い幅で仕立てた1本。

で、このリズを再現しようというのは、ラスカルのコンセプトではありません。
皆にリズさんの後継者と呼ばれるリッチも、もちろんこの板を覚えていて、二人して思いだしながら、以前も話題になったラスカルのコンセプトを実行しようというキッカケになったわけです。

今までにもいろいろな製作者と一緒に、特大幅のフィッシュというトライはいくつも繰り返していますが、このサイズレンジで実用範囲・最大級の幅のメリットと機能性を突き詰めたデザインとなると、理想通りの完成は、まだない。

そして今年、リッチさん、操作性と機動性の高さが最高の極太フィッシュを見事に造り上げました。
このローンチの2本だけ見ても、アウトラインはカーブのコンビネーションがものすごく進んだものです。
ボトムの基本デザインは2本目に削った、グリーンティントにほどこした方に決定。

忘れちゃいけない大事なポイントに一つは、新しいテンプレート・フォイルのグラスフィンです。
当サイトのあちこちで紹介しているように、私たちはあらゆるフィンにグラスやウッド、そしてグラス/ウッドのコンボなど、それぞれの特性を生かした様々なフィンを用意しています。
それは、それぞれの板のデザイン・シェイプとのベスト・フィット、そして乗り手のリクエストや好みなどにベストのフィンを造る目的です。

ラスカルにとってはキールフィッシュの良さを最大に生かしながら、操作や動き・ターンに対してより以上に柔軟でドライブのあるフィンが必要だからです。

さてラスカル、もうすぐ受付を開始するPAVEL 2018ではさっそくカスタムオーダーが可能になります。
幅とボリュームのあるフィッシュが欲しい、そういうのが好きだ、すごくいい板でっ、ていうサーファーにお勧めです。