いつもご紹介する我らがファクトリーマン、高橋健次。
今日はフィン作りの第一歩のサワリを紹介しましょうね。
彼の手による1本1本の板のためのフィン作りは、この30数枚のクロスをものすごく均一に、適正な樹脂量と見事な含浸と、季節や樹脂の温度変化を読んだゲルタイムなどなどのコントロール、それらがすべて調和します。
彼がたった一人で切り盛りするOZファクトリーは、エムズにやってくるリッチ・パベルやマニー・カロなどの世界一サーフボードにうるさい連中が世界でもっとも信頼を寄せる処。
それだけじゃないんです。
そのグラスワークのクオリティが、まぎれも無く世界のトップのひとつです。
はっきり言いますね、とても良い、とかいうんじゃなくて、数少ない最上のひとつ。
サーフボード、どんなにシェイプが素晴らしくとも、巻かなきゃ海に入れません。
巻くってことは、ただ水に入るためだけではありません。
真っ裸で表に出られない、って話とも違います。
グラスワークはサーフボードにデザインされている機能的な形状要素と、持ち合いの関係です。
波乗りしながら自分が乗ってる板が、やれどんだけ曲がったとかねじれたとか見てるサーファーなんてのは、まあ普通はいません。
が、それがサーフボードのデザイン・シェイプと一緒に起きてることが、サーファーが波乗りしていることそのものです。
サーフボードに施すグラスワークは生きていると考えても分かりやすいかもしれません。
なぜならサーフボードが必ず持っている、波やサーファーによるエネルギーに対する動的要素を決定します。
素晴らしい食材と調理の関係はそうであるように、素晴らしい食材が人を喜ばせるも台無しになってしまうのも、誰でも知っています。
さてそんじゃあ、はたして我々普通のサーファーはどれほどそれを感じているのか。
私たちは、例えば世界のトップサーファーのようなステッカーをサーフボードに貼るよりも、自分がホントに知っている喜びを求める種族のサーファーです。
そしてまた、そういう感度はそのようなサーフボード体験を重ねる事によってそれぞれのサーファーの中で磨かれて盛り上がっていくんですな。
それがリッチさんがここに来る、もうひとつの理由です。
もうひとつは、ここで彼の削る板の世界一バージョンができるからです。