今日はPAVELのEGGをいくつか取り上げて、ちょっと深掘りしてみましょう。
ところで、ここBACKDOORでは基本深掘りな話で、時にスパイス有り。いい板の体験とともにだんだんと皆さんの役に立てばというコンセプト。
読みたい人向け、とはいっても、ですから仮にサーフィンにもサーフボードにも初級者の方であっても先に行って役に立って欲しいという思いですので、ぜひどうぞ。
さて、いくつか、と言うのはですね、PAVELにはホントにたくさんのデザイン・シェイプがあって同じカテゴリーでも、例えばFISHといってもいくつどころではすまないほどのプランシェイプとモデルがあります。
EGGも同じで、モデル名にEGGと付くもの付かないもの合わせて、リッチ・パベルがEGGとするシェイプは私が見ただけでも10くらいはある。
まあ、ここんところのさばきはPAVELボードを何本か楽しんでいるサーファーはすでにご存知の通り。
全部を紹介しきれないということもあるのですが、リッチと私たちはそのたくさんのデザインの中から選び出したモデルを優先してカスタムオーダーなどでガイドしています。
それぞれのカテゴリーの中で定評の高いモデル、幅広いサーファーの幅広い波のコンディションに応ずるモデル、それでいてそれぞれがちゃんとキャラの立っているモデル、などなどのサーフデザインを選び出しています。
もちろん、長年にわたって鉄板とでも言えるデザイン・シェイプもあれば、新しくローンチするもの、定評のデザインのアップデートやバリエーション展開なども。
で、今日は、EGGの中から鉄板かつそれぞれ明確なキャラクターを持つモデルを詳しく紹介します。
写真で感じてもらえる最初のパート、アウトラインが発する板の雰囲気の違いに注目していただこうと。
リッチ・パベルはアウトラインを単に平面として切り出すことはしません。
アウトラインのプランが出来るときには同時に、ロッカーとフォイルがデザインされています。そしてそれに付
随してレールのフォイルとボトムデザインのバラエティにもイメージが及んでいます。
それらが3Dでデザインからシェイプまで同時進行して初めて、そのモデルのキャラクターが生まれます。
EGGという、分かるようなそうでもないような、なんだか卵っぽい感じのカタチでしょ、的な飲み込み方になりがちなデザイン。
ざっくりそれでいいんじゃないかと思います。
いやね本当は、実はリッチ・パベルやある種族のシェイパーたちは、EGGと呼ぶデザインに明らかな定義を共有しているのですが、その話はまたいずれ別にもうひとネタの時までもったいぶって取っておきます。
ご覧いただくEGGは大別して3種。
GOLDEN EGG / QUAD & SINGLE、FRIED EGG、そしてDYNAMIC DUOことRIPPING EGG。
それぞれのモデルの特長・特徴の説明と合わせてカタチを見て、想像を膨らましてみてください。
ではまず、GOLDEN EGG。
黄色のQUAD。こちらのモデルはこのクアッドはもちろん、ツインフィン/ツインザー・セットアップともフィットするプラットフォーム。
このサンプル写真の板は、7'11"。
ワインのSINGLEは、7'5"。こちらのゴールデンエッグ・シングルはテールデザインだけでなく、実はアウトラインはクアッドと共通するカーブ変位の流れを持ちつつも、リッチはこのモデルのためのシングルフィン強調ポイントをきっちり持たせています。
同時にボトムデザインには大胆かつ、全方位にスピーディーであらゆるサーフィンに柔軟な、それでいて只者じゃないフラットボトムを基本デザインに。
このスプリット系とシングルの二つのゴールデン・エッグ、長さの違いはあれど両方に共通しつつ、だけどそれぞれのカーブ変位がある。その違いをなんとなく感じてもらえたら。
そして、FRIED EGG、写真は7'2"。
このモデル、大きく見ればど真ん中のエッグと言えます。
エッグは基本的にどんなサーファー・どんな波でもという幅広い守備範囲を持っているものですが、このモデルが日本の私たちの平均的なコンディションでの守備位置も特に説明してみましょう。
例えば、小波での強力なアドバンテージを持つ板をメニューの中にすでに揃えているサーファーにとっては、ちょっとサイズのある波やいい波でこその板になるでしょう。
逆に普段からほぼ小さめの板でどんな波もサーフするサーファーなら、パワーのない小波をやっつけるにもなるし、いい波でのスピードとキレをマニューバーするミッドレングスに。
基本的にどんなレベルのサーファーにも満足されるモデルでありながら、モダン・マニューバーに心得のあるサーファーにとってはシークレット・ウェポンです。
カタチ、このカタチが示す特長は、このアウトラインを整理し尽くしたバージョンでは余計なものがないところまでに行けるカタチ。
ミッドレングスに期待するフレンドリーさは絶対として、そのカテゴリーのレーサーベースでもあります。
リッチさん、デボン・ハワード君にもこの板1本作りました。
で、DYNAMIC DUO a.k.a, RIPPING EGG。
この板も時々トピックを紹介しているので目に入った方も多いでしょう。
デュアルフィン・セットアップのエッグ、リッチ・パベルならではのアペアレント・ワイドポイントに調和するフィンセッティングと、デュアルフィンを現代によみがえらせる明確な魅力をデザインしているモデル。
またもや実はリッチさん、このモデルにも複数のプラットフォームを持っていますが、ここではこちらのアウトラインを。
写真は、6'6"と7'4"の2本を見ていただきます。長さだけでなく幅とボリュームの指向も違う2本ですが、"この板のカタチ"を共有しています。
今日のEGGの話としてはちょいと脱線ですが、リッチのデュオ、2本のフィンを持つシングルフィンという禅問答をとにかく飲み下してもらって、そういうもんなのね、と。
この2本フィン・コンセプトにおいて壁になる2本のフィンの間で水を抱いてしまう重さを、見事にブレイクスルーしているのはさすがリッチさんという他はありません。
それでいてオープンフェイスではシングルフィンのクリーンなスピードとラインをドライブし、ファンサイズのセクションではツインフィンでもクアッドでも無い、ボトムもトップも深く回る速いカーブという独自の特長。
今日紹介している3種のEGG、微妙に違うんじゃなくてそれぞれが美味しい明確な味付け。
EGGのアドバンテージとフレンドリーさを高品位に持った、それぞれがチャンピオンです。
この、カタチ・パズルにハマります。