2021.03.16 UP DATE
11 CLUB NEWS

PAVEL, 11'1" DOUBLE RASCAL

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 イレブン・クラブ、なんちゃって幻のクラブ、というよりも実在しません。もともと、随分昔(と言った方が当たってるくらいになるんですが、20年以上前です)に、"ビッグボードも楽しいよ!"という呼びかけのつもりで色々な情報発信するのに架空のクラブを名乗ってみたのが始まり。

当時はエムズもウエブサイトをスタートして遠方のサーファーとのつながりもどんどん広がり、意外なほど(とは言っても、やっぱりマイノリティだけど)ビッグボードに関心を持つサーファーも増えました。

ビッグボードのオリジン、デイル・ベルジーのVELZYをはじめとして、そのデイルがクラークフォームにどでかいブランクスを依頼したことがビッグボードへのきっかけだったと興味深い話を聞かせてくれたスキップ・フライ、エムズはそういったブランドの輸入元でもあったこともあって早くからビッグボードを体験するチャンスがあったのです。

そういう経緯もあってエムズでは全国のビッグボードライダーたちと地味に長くつながってきましたが、ここ1・2年ほど世界的にも広がりを見せ始めて普段は普通にロングボードで波乗りするサーファーも時々はデカいヤツでやる、といったシーンも見ます。

そうなると当然色々なシェイパーたちがビッグボードにトライし始めて、インスタなんかでも11フッターや12フッターをちょいちょい見かけるようになっています。

プラットフォームとして多く使用されるのは、ちょうど今日紹介するDOUBLE RASCALのようなポイントノーズ・フィッシュテールというレイアウトで、代表的なものではスキップ・フライのフィッシモンズやスイッシュを思い浮かべますが、フィッシュの生誕地サンディエゴ界隈では長くシェアされているアイデアです。

このようなプラットフォームは一口でグライダーなどと呼んだりしますが、まあ確かにその通りではあるけれでも、そのスピード・勢いのある滑りとともにそれそのままの勢いによるターンはもう一つのトピックです。

実はビッグボード、デカさで膝腰無敵みたいに思われがちですが、もうちょいサイズのある波での威力はこれはすごい。もちろん、大きな波で御するのは高等技術ゾーンです。

ところがそういうファンサイズでシェイプのいい波ってのが、これがそうは多くありません。
で、そういうアベレージ・コンディションでもターンを楽しめるという要素を最大化したデザインのひとつが今日のこの板、DOUBLE RASCALです。

リッチ・パベルに私のアイデアとリクエストを詰め込んだプロトですので、みなさんのオーダーをいただいて製作する場合はさらに整ったアップデートやデザインになります。

一般的にも私にとってもビッグボードはウレタンフォーム x ポリエステルレジンが選ばれますが、実験的なこの板ではEPS x エポキシレジンを選択しました。
理由は簡単で、ターンの操作性に幅を持たせたかったから。


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で、デュアルフィン・フィッシュ。
シンプルにルースなターン性のためにリッチが選んだテンプレートはフィッシュのデュアルフィンの中でも、ホールド性をキープしつつ動きのクオリティの高いこれ。
このテンプレートとフォイルは、いいです、とても。さすがリッチです。

ボトムデザインも実験的なアイデアとレイアウトで、ボード前半では一種のディスプレイスメント・ハルです。
ベリーは板の大きさから見ても深めですが、ベリー部は大きいカーブにされています。
そこからボード後半に向けては前半部の地形イメージの中に、ダブルコンケーブ・インセット。

で、私の妄想で無理矢理リッチにデザインしてもらったのがテール寄り1/3ほどのアンダーレールに施される、バックフット・チャインです(私が勝手に名付けただけですが)。

ここでイメージしたターンの楽しさというのは、つまり板の頭が深く回り込むターンですが、十分なサイズのフェイスでならともかく、そうではない波でもそのターンがしかも素早く回るというのを求めました。
後ろ足に働くチャインがターンサイドのフィンと共に作用するレールの下側に低圧を作って、速さと一緒に操作に対する動きに軽さを生む。

プランシェイプのロッカーをリッチが見せる写真でお分かりのように、テールキックの大きいスペシャルブランクスと共にこのアイデアですから、デザインが悪ければ回るけど速さをスポイルしてしまいますが、そこがさすがのリッチ・パベル、このものすごく複雑なデザイン・シェイプを完璧に調和させています。
実際のライドでも、まったくその通りです。

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そしてまた、ここは見えてしまうとは言え、技術的には秘術になるところに一つ注目してください。
シェイプ上がりのボトム写真、テールに抜けていくインセットのダブルコンケーブの後ろ足エリアのストリンガーを含むセンター部、ここ他のエリアと違ってストリンガーにエッジが削り出されています。

この技、リッチは色々な板で大小や程度の違いはあってもよく採用するデザインですが、実際にはフィンの前のここで後ろ足で作るロール操作への速いレスポンスを作ります。
これね、シンプルに見えますが国宝級仏師のような彫刻術でして、フォームだけなら成形もできようけれど同時に異質で削るための刃物が違うはずのストリンガーのウッドを一連の削り出し動作です。

ほとんど現場のみの話題ですけど、なんで乗れるサーファーがリッチの板のサーフィンに絶対的な違いを見出すかの理由は、こういうことにもありますということ、ちょいと紹介させてくださいね。

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それやこれやでこの板、プロトではありますが私としてはリクエストを遥かに超える体験をすでに与えられましたが、皆さんからのオーダーにはリッチ・パベルはさらに取るものは取り捨てるものは捨てて整えることになります。

オーダーにご興味のある方はぜひご相談ください。

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