バックフット・チャイン、というアイデアです。
チャインはPAVEL・イージーワイダーで、ここ数年みなさんの耳に届いているデザインの名前です。
つい先日、13日のポスト・EISHIN FEATHERの中でもチャインの由来などをお話ししているので、ぜひそちらもご覧ください。
で、そのチャイン、早い話がターンによく効く。
その効き具合は板全体、またその全体の中でチャインをどのようにコンボしてやるかによって変化します。
今回このアイデアを試してみるプラットフォームとしてリッチにリクエストして、まったくあらたにデザインしてもらったのがこれ、11'1" DOUBLE FASCAL。
そしてバックフット・チャインはすごくいい結果と感触を得たので、違うサイズにも応用してみることをリッチと相談中。
さてここからは詳しい説明、話は長くなります、きっと。
そもそも、このアイデアをなんでビッグボードにコンボしたのか。
古くからのお客さんはみなさんご存知のように、エムズがビッグボード・サーフィンの面白さを提案し始めたのは25年ほど前からです。店が港北ニュータウンの中にあった頃。
当時エムズが輸入元として預かるブランドの中にSKIP FRYEもあって、スキップさんがビッグボードを追求し始めて数年経った頃です。
そのスキップさんがビッグボードを作り始める一つのきっかけには、デイル・ベルジーの影響があったのよ、というのはスキップさんから聞いた話で、すなわちブランクス・マター。
それはそれとして私自身もエムズで販売させてもらった、デイル・ベルジー/スキップ・フライ/マイク・ヒンソン/ジム・フィリップス/ミッキー・ムニョス/マニー・カロ、そしてリッチ・パベルらの素晴らしいビッグボードたちをシェイプしてもらいライドさせてもらってきています。
ちなみに私のそれらたくさんの中からTOP 3は、VELZY 12'6" / VELZY 10'7" / PAVEL 12'2"です。
色々な体験をさせてもらって、私なりの結論も得ました。
ビッグボードとひとことで言っても、もちろん色々なコンセプトやデザインや感触などがありますが、その中からターンに積極的なキャラクターを持った傾向のデザインに、バックフット・チャインをコンボしたのです。
すでにビッグボードを波乗りメニューに加えているサーファーは知っての通り、デカい・重い、でも意外なほどターンします。
むしろそのスピードと強烈な滑走性の高さは、板そのもののボリュームや重さを回転(ターン)においても勢いに変えますから、ターン操作はその勢い自体がアシストします。
その中でもターン性の高い系ビッグボードの回転性に、さらに明らかに違う積極性を加えられないかというアイデアがバックフット・チャインです。
何度か乗ったダブル・ラスカル、やっとシェイプの良い波に持ち出しましたが、まんまと当たりです。
さすが、リッチ!
フロントサイドの上がるターンでは、もちろん明らかに切れ上がります。
そして、どうって事ないカットバックでも戻す向きに、板の頭が向いたその後に勝手に板が、もう一段奥に回ります。
ターンが深く回るものであればあるほど、その後半のところで積極的な回り方が加わる。
これ、言葉で言うと大げさですが、たいしてサイズの波なのにもっとサイズのある波での回り方のような感じ。
こうなるともっとサイズのある波でやりたいもんです。
そういうわけでバックフット・チャイン、イケます!
ちなみに、写真で見てもらうと、テール寄りの外側スロット・チャンネルに見えるかもしれませんが、これテール寄りのダブルコンケーブの外側にさらにコンケーブ、ではない。
いや、コンケーブ状ではあるけれど、面のフェイズが全く違うのです。
プランシェイプ時点でのロッカーとフォイルの写真を載せてありますが、センターロッカー・レールロッカー・フォイルとの関連に対して、バックフット・チャインは違うフェイズが与えられているのです。
その面にさらにスロットが施されているので、ちょいと見にはコンケーブに見えるかもしれません。
で、この効果の発見からひらめいたのは、このデザインをミッドレングスにしたらこれは絶対いいぞ、と。
写真でお分かりのようにそもそもこの板、前半2/3はコンケーブではなく、いわばコンベックス系。
コンベックス、あまりサーフボード・デザインでは使われていない言葉だったけど、近年スノーボードとの再接近によって持ち込まれているようで、まあ説明には都合がいい。
たがしかしそこはリッチ・パベル、そんなひとことで片付くシェイプなんかいつだって見たこともない。
板の2/3ほどまでは明らかにアッパーなレールが、テールに向かってピークを下げていきます。
レールのピークが上がっている間はボトムもコンベックスにバランスしているものの、単に丸めているのではなく大きなカーブを持ったプレーニング性と自由度の高いパネルであることが分かります。
それが後半1/3からそのセンターパネルはロッカーと調和しながらダブルコンケーブとVフェイズとのコンビネーション。
その外側、つまりアンダーレールにチャインという仕掛けになる。
この、前半2/3と後半1/3のダイナミックな変化を見せるデザインは、リッチ・パベルの魔術でしかない。
ダブルラスカル、最近一つ見つけた景色。
このダブルラスカル、長さが長さなんで今は家の階段の踊り場に立てて置いてあるんですが、1階のある部屋を行き来する時に板の下半分が目線の高さで目に入る。
どこのライトが点いているかにもよるんですが、点いてるライトによってはデッキのクラウンがよく見える時があって、その絵柄なんてもう"リッチやばいな、、"って思わされる見せ場。
リッチの板をお持ちのみなさんは、目に入るたびにため息でるような景色を見ることありませんか?
脱線です。
とにかく、ダブルラスカルで得た結果をミッドレングスでリクエストしてみましょう。
リッチさんが納得できるイメージがまとまれば、これもまた今までにない板が出来るかもしれません。