ファンタスティック・アシッドの V-Bottom にはホントに感心させられます。
シンプルに、V-Bottomを名乗る板は今までにもいくつも登場したし、それらのいくつかはよく出来たものはあったものの、アシッドのやつほど思い切りよくデザインされ、フレッシュな波乗りを実現したものを知らない。
V-Bottomのオリジンは60年代終わり、ボブ・マクタビッシュが生み出した。それはハワイやカリフォルニアにも持ち込まれたりサーファーの交流によってシーンに伝播しました。
同時に起こったショートボード・レボリューションはダウンレール+エッジの一人勝ち。V-Bottom、その後静かに消えていったわけです。
そのずっと後、80年代後半から芽の出たロングボードの復興は現在のオルタナティブ確立につながるんだが、その流れの中でV-Bottomは思い出したように時々、物好きが手を出すアイテム。
それがついにアシッドのトリスタン・モースの手で、新しいカテゴリーに発展したってわけだ。
ご存知のように、ファンタスティック・アシッドはいわばディープなディスプレイスメント・ハル専業ブランド。
V-Bottomというモデル、そのコンセプトの原則から言えばまったくのディスプレイスメント・ハルとは異なる種である。
ボード前半(ざっくり前半分ね)から2/3あたりまでは、まったくハルのレールとディープなボトム。ざっくり真ん中を過ぎてボード後半1/3からはものすごく深いVパネルに分かれてテールまでスパッと抜ける。
アウトライン、細身のノーズからとても下がった位置にあるワイド・ポイントを通過して、やっとテールに近いエリアで軽く絞られてスライト・ダイアモンドテールに収まる。
ロケットみたいなカタチ。
これが刺さるかと思うと、ぜんぜん刺さらない。なぜかと言うとテールのでかいVで逃がしてやればいいから。
試しにすごく早く滑り出すテイクオフをあえて少し待って、波のボトムが掘れてくるのを待ってから落とす勢いをつけて立ってやっても、勢いをもらった直後にテールのVの波側を踏んでやれば、そりゃもう気持ちいい回転から飛び出しくれる。
普通のターンはどうかと言うと、ターン前半はまんまディープなハル。
飛ぶようなフィーリングで前足は行きたいラインへ踏んでやる。ターン後半の伸びのパートはVの出番で、でかい、つまり波側だけでも広くて長いパネルは強力なプレーニングによる伸びと回転をシームレスに創り出します。
ディープなハルとデカくて長いVの大胆な組み合わせ、それが生み出す完全な新感覚が、このモデルの最大のクライマックスです。
このモデルにはトリスタン・オリジナルのボランフィンがベストフィット。
ハイトがあって、チップ近くでレイクが強まる、そしてフレックスの大きいこのフィンは、グラスオンであろうとボックであろうとマストでしょう。
ターンの後半をVパネルが、その深い角度ゆえにリーンの幅の大きさを作り出すのですが、そのリーン量の大きさをディープでたんまりフレックスするこのフィンがレールを水にとどめることを可能にしているんです。
同時にデッキのテールエンドにシェイプされたV状の谷間は、ターンが最大プレッシャーに達してもデッキ側からテールを水にとどめる役割をします。
このパートを穏やかなラインではなく谷間の入り口にエッジを持たせてあるのもトリスタンの冴えたところで、穏やかに水を流すよりもエッジを付けて水の急激な流れを作れば、より強いテールへの押し下げ圧力を得られるわけです。
ミッドレングスがターゲットサイズのモデルですが、すでにマニアなリクエストでロングボードサイズも素晴らしい評価があります。
ファンタスティック・アシッドはもうすぐこの夏頃デリバリーのオーダー受付を開始します。
とても気持ちよくハマる沼です、ご興味のある皆さん、ぜひご相談ください。