実はボンザーに限ったことではないのですが、今日は面とラインの絡み合いクオリティの話です。
面とライン、サーフボード造りではグラスワークでシェイプされたフォームの姿を変えるのは、傍で想像するようにはいかないものです。
ここが、例えばソリッドな塊から自由に造形を削り出す作業とは決定的な違いです。
グラスワークのクオリティについては巷でもいろいろ話題になっていますが、シェイプと同様、これも果てしないくらい先とステージの開きがあります。
今日話題にすること、私にとってもすでに何度も見て体験してたくさんのケースを常日頃から見て理解しているはずのことでしたが、つい数日前に山王ファクトリーの高橋健次が、"ねえ、コレ見てよ"ってんであらためて感心したのでみなさんにもお伝えしたい。
いつものようにここでの話は、基本とても高い技術とクオリティが前提になってます。
今日この話のネタに持ち出した2本のボンザー、1本は 7'4" SCORPION BONZER 3、もう1本は 5'8" 5FIN BONZER。
どちらもたまたまアイソレジンで巻いた板です。
そしてどちらもボトム(5'8" はインセットが)がクリア、というところも健次が特にこの話になった理由のひとつです。
クリア、いろいろな場面で技術とクオリティが試される。
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最初に言ったようにボンザーに限らないというだけでなく、本来すべてのデザイン・シェイプに共通する事柄です。
ボンザーは特にボンザーの特徴的なチャンネルがほどこされるボードのボトム・センターからテールエンドにかけて、とても立体的な面とラインの変化が与えられていますのでこの話になった。
もちろんボンザー、そのボードデザインやシェイパーのノウハウと技によって姿が違います。
ここではリッチ・パベルのボンザーが主役ですが、彼のボンザーは特にダイナミックな姿と様子を見ることができます。
リッチのダイナミックで細密なシェイプを、高橋健次は見事に読み取ってベストの完成形に仕立てます。
健次が私に、見て!、と言って一緒にチェックしたポイントはそのボンザーのもっとも目を引くところ、大きなスロット・チャンネルのパート。
リッチのボンザー、ここには単に面の流れだけでなくテールにいたるまでのアンギュレーションが複雑に組み合わされています。
このチャンネルの中に複雑な3Dがシェイプされているわけです。
ですからいつも健次はこことこの周辺のサンディングに、ものすごく神経を遣います。
当然、そのサンディングだってベストのラミネートがなされていればこそです。
わずかな間違ったうねりや、ホントにわずかな凸凹が板の乗り味を台無しにしちゃうじゃん、と健次は言います。
ここがまたこの話のトリッキーなトコなんですが、ほどほど良い、というレベルは関係無し。
じゃあ、そんな特別なレベルは私やあなたのサーフィンにどう響くの?、というご質問もある。
あるんですよ、一度でもそういうレベルのサーフボードとサーフィンライフを共にするようになると、あなたの身体に記憶装置にどんどんそのメモリーが積み重なっていきます。
その結果が、"なんだか分からないけどぜんぜん違うのよ"、という引き返せない道。
もうね、ほどほど調子いい板は、いくらでもあるんです。
それでいいじゃん、ならそれでいいんです。だってそのあたりでメモリーを止めておく選択では、絶対に想像もつかないものなんですもの。
サーフィン、これほど夢のような体験なのですから、最上の贅沢な選択。
そういう選択のサーファーのためにリッチも健次も、普通に、そして本気でやってます。
PAVEL 山王、そういう板です。