MAHI HULL,
この板、イメージとデザイン・アイデア、使用するブランクスの選択とシェイプ、そしてグラスプロセスまで、ピュアなオリジナル。そしていろいろなパートに山王グラッシングのオプションもほどこしました。
ハル、という名のとおりのディスプレイスメント・ハルです(PAVELには、ランチ・ハルというモデルがありますが、あちらはストレートにハルというにはちょっとトリッキーなデザインです)。
コンセプトは、ロングボードで、ノーズは大きく板自体の幅も広く大きな頭に対してテールはけっこう絞ってやや細身、レールのボリュームは小さく、ボトムのハルは思い切りディープに。さらに思い切りダイナミックなフォイル、つまりノーズとテールは薄くなります。
どうでしょ、写真で見える板の様子はそんな風に見えませんか?
デッキのラフカットに手を付けてアウトラインのアイデアを描いた写真よりも、シェイプ上がりの板の方がテールが絞られたのが分かると思います。
ところで、よく見かけるミッドレンジのハルの典型的なレイアウトを見てみましょう。
比較的広めのノーズ、中間的な広さのテール(テールエンドには柔らかなスカッシュ系かラウンドが多いですね)、フォイルされたレール(かなりピンチーなものまであります)、薄くフォイルされたノーズとテール、ラウンドしたハルまたはトライプレーンハルのボトム、といった特徴です。
そしていつも説明するように、主にフレックスフィンをセットして、フィンを介して伝わるターンで生じたパワーがテーリエリアのツイストとフレックスを生む、というハル・フィーリングの動的な特性。
このマヒ・ハルでイメージされているのは、単にミッドレンジのスケールアップ版ではなく、あの不思議な無重力フィーリングで波を上下動する速い動きをロングボード・サイズのハルでさらにスケールアップすることです。
リッチ・パベルはそのイメージをデザインとして描き、シェイプを完成させました。写真では上でお話ししたアイデアとデザインが見えると思います。もちろんロングボード・サイズでこのイメージを実現させるために、この板のために編み出したデザインがいくつか見えます。見えないもの、もあるんですけどね。
さて次はグラスプロセスの話です。
まず、言われなきゃ気がつきそうも無いところから。
レールは、デッキ・ボトム、どちらから見てもレールカラーですが、これはレジンカラーのラップカットです。ブラシカラーなら簡単ですし、カラーパネルでもデザイン上は可能です。
この板ではレールラップでツイストカット・フレームをラミネートしています。これ、キメるの簡単じゃありません、というより、難しい。
プロセスのあちこちに山王・健次のシークレットな技が隠れているので、そのすべてを詳しくお話しすることが出来なくて、ごめんなさい。
デッキにはファブリック・インレイです。このファブリックは私が集めている物の中から、ちょいと変わったヤツを。
レジンピンラインはレールカラーとファブリックが持っている色味と相談しながら、なるべく色数が増えた感じがしないように、そして寄れば凝ってる、な雰囲気で。
ボトムにはパベル・ダイアモンドの小さいヤツを、同じくレジンピンで。
フィニッシュはコンボです。デッキのインレイとレール、そしてピンラインはポリッシュ。それ以外のパートはウェットサンドで。
この板マヒ・ハル、近いうちに海にデビューします。何人かのライダーにも波乗りしてもらって、次は波乗りリポートをしましょう。
ちなみにスタディ1本目のこのマヒ・ハル、サイズは9'9" x 24" x 3 1/4"、いろんな意味でビッグハルです。