エムズは、PAVEL 山王の各ボードを製作するために、業界で言うスペシャル・ブランクスを用意します。
スペシャル、ってんだから何だか特別な感じがするでしょう?
特別、なんです。
ショップにお出でになるお客さんやお馴染みさんには何かのご質問の時にお話しすることがありますが、そのからくりはこうです。
世界でも日本でも、サーフボードメーカーに流通しているブランクスにはいくつかのメーカーがあります。
ここいらへん、実は国によって事情がけっこう違いがあったりしてクオリティにも相当以上な差があるケースもありますが、日本ではおおよそアメリカ(つまり、カリフォルニアという方が早いかしらね)に準じています。
その中でも世界的にもっとも信頼されているのが、US BLANKS です。
私たちPAVEL 山王もウレタンフォームはすべてUS BLANKSを使用しますが、メーカー・製作者に普通仕様されているカタログ・ブランクスではなく、私たちは作ろうとする板それぞれにベストフィットするスペシャル・ブランクスを別注するところから、1本の板を造る作業が始まります。
そのスペシャル・ブランクスから製作する板には、いくつものメリットやクオリティを左右する要素があります。
みなさんにカスタムオーダーを呼びかけて、オーダーいただく流れの中で実際のシェイプから始まる作業の数ヶ月前にオーダーを閉め切るのはそのためです。
いただいたオーダーの内容に合わせて最適なブランクスの仕様を決定して、それを1本1本のためにフィットする仕様にカスタムしたブランクスをメーカーにオーダーするのです。
その別注ブランクスができ上がってくるまでの、余分な期間が必要になるわけですね。
さて、写真で見ていただけるUS BLANKSのカタログにはとてもたくさんの標準モデルのブランクスが載っています。
多くのシェイパーさん達はこのカタログを見て、作ろうとする板にもっとも適したスペックを持ったブランクスをメーカー(輸入元さんね)に注文するところから始まります。
そもそも、この標準モデルも選ばれた優秀なシェイパーがデザインしたものばかりで、リッチ・パベルがメーカーの依頼でデザインしたシグネチャー・ブランクスもラインナップされていて、それは現在世界中のシェイパーがシェイプするフィッシュにはなくてはならないブランクスであるばかりか、クリエイト性が最も高いブランクスとして知られています。
写真にある、510RP / 68RP がそれね。
そして今日サンプルとして紹介しているブランクスの写真。これは今年製作するある板のためのブランクスのひとつ。
これ、ベースになっているのはスタンプされている通り、74SP / GREENてヤツなんですが、右の方に手書きでかかれているいくつかの文字が見えます。
P18050、書かれているのがその別注ナンバーで、その下にはこのブランクスのウェッジ・ストリンガーの指示も書かれていますね。
実際にはもっと細かい仕様の指示とスペシャル・ブランクス製作上のスペックが私たちとメーカーのあいだで共有されますが、コンテナで運ばれるたくさんのスペシャル・ブランクスが一目で製作リストのどの板のものか一目で分かるようにナンバーを手書きしてもらっているんです。
つまりこのブランクス、ベースが74SP / GREEN、それをP18050で指示した各スペックで作られたスペシャル・ブランクス、ってわけ。
ちなみにここで出てくるGREENとは、フォームのデンシティ(密度)の番手。これもまた、いただいたオーダーの各ボードの特性やリクエストに合わせていくつかの中から選ぶ。
リッチ・パベルの、まるで無限なデザイン・バリエーションから選んだみなさんの1本1本は、やってるこっちがビックリするくらいホントに数えきれない姿のシェイプとサーフボードにでき上がります。
そいつをビシッと決めるために、このスペシャル・ブランクス造りから始めます。