雑誌Blue別冊、Surfing California Vol.2 が発売になりました。
この本の中では、ピッグとミッドレングス・サーフボードが重点的に取り上げられています。
興味深い内容になっていますよ。
私もピッグ特集の頭の記事を書かせていただいています。
"PIG"はデイル・ベルジーが1950年代の半ばにリリースして、そのあとのサーフボードすべてに影響をあたえたデザイン。
VELZY一家の私にその役が来たわけです。
以前、Blueさんに依頼されて書いたものですが、その時に日本のロングボード・シーンもいずれPIGに感心が向くはずです、というような事を言ったものですし、それはロングボードの本質的なサーフィンですよ、と。
あれから何年経ったか忘れましたが、どうでしょう?、今ではロングボード・シェイパーの多くがピッグを研究していますね。
そしてそれはムーブメントや流行りの話じゃなくて、この本の中の特集の中でもたくさんのシェイパーやサーファーが言っているようにロングボードでするサーフィンのど真ん中がピッグ・デザインに集約してる、と口をそろえています。
私はVELZYに運営参加している立場でもありますが、その他にいくつかのブランドを輸入元として預かっています。
その中にはPAVELのように私たちの山王ファクトリーで来日シェイプ/製作をメインにしているものもあります。
そのように作って販売する立場ですから、ボードデザインやサーフデザインについての発信はセールスにリンクするのはもちろんなのですが、私が過去ずっと発信してきたものはすべて、自分自身が素晴らしさを発見して夢中になり、そうしてみなさんにお伝えしたいという衝動に尽きます。
それが本物だったらみなさんに喜んでもらえるという順番です。
それを繰り返しています。
この本の中ではミッドレングスについても掘り下げたスペースを割いています。
このカテゴリーも同様で、エムズではキャリアのほとんどすべてを通して積極的に扱ってきているものの一つです。
何度も紹介してきた事ですが、なにしろ良質なミッドレンジ・ボードは他のどれとも違う景色のサーフィンを体験するのです。
スピード、サーフィンのアイデア、スケール感、スタイル、美味しい要素が満点です。
少し前までは、例えばこのような長め(短い板に比べての、話ね)のサーフボードは"ファンボード"なんていう、いかにもサエない呼び方されてたんだから笑えます。
それどころか、そのミッドレンジの中にとてもたくさんのアイデアがカタチにされた、つまりサーフデザインがあって、例えばリッチ・パベルのようなクリエイターはどうしてこんなにいろいろなサーフボードを編み出すの?、ってくらい。
サーフィンは自然と波とサーフボードがあれば、誰でもどんな時代でも楽しめるはず。
なんだが、例えば日本では海で見かけるほとんどすべてのサーフボードがスラスターになって、90年代を迎えてしばらくの間、サーフィンが細った時代があったのは紛れない事実でした。
もちろんそのサーフィンを楽しんでいたサーファーも少なくはなかったとはいえ、今のようにそれぞれのサーファーが自分のフォーカスを持てるようなコンディションじゃなかったワケです。
それはなぜかっていうとね、ほとんどのサーファーにとっては日々進化して乗る事が難しくなり続けるスラスターがサーフィンのすべてのように見えていたからです。
その時代だって、フィッシュもエッグもハルもロングボードもあったのに、ですよ。
このような本が世間に出る、その中身を見てみればどっちがオルタナティブか分かりません。
楽しい事です。
で、ホントにいい板、最高です。
しつこく、本物!、ってセリフを言い続ける事にします。