2017.10.02 UP DATE
シェイプ、何がおきるのか?

この話、たぶん3回くらいに分けて紹介する事になります。
続編は数ヶ月後になりそうだから、面白がってお読みいただけるみなさん、忘れた頃をどうぞお忘れなく。

で、話のタイトルをどうしようか考えたんですが、絞り込んだタイトルも思い浮かばなかったので、こうなりました。
ですから、このタイトルだけだと話の方向性がすごく広いんです。気にしないで読み進んでください。
そんな話なんで、今回は写真も具体的なものは特に用意していません。単にイメージです。


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さて今日のお昼ころ、我々のファクトリー、山王ファクトリーに寄った時の事です。
山王の健ちゃんが所有する、あるロングボードのことについて話しだしました。それはすごくいい板なんです。

私たちはほぼ毎日、ファクトリーや電話でいろんな話や打ち合わせをするんですが、そういや一昨日、健ちゃんがいきなりロングボード・デザインのことについて私にいくつか質問し始めました。
健ちゃんはいつもいきなり、何かの話を始めます。そこは阿吽の呼吸ですから、驚きません。むしろ、そういう時には面白い話題が控えているもんです。

まあなにしろ、その質問てのは、ねえ三井さん今までで一番乗りやすかったロングボードって何?
ご存知の方も多いと思いますが、私はホントにいろんな板の乗り味・性格・デザイン、などなどがバラバラに好きなのでどれが乗りやすいっていう基準はそんなに意識していません。

もちろん、お客さんに板のガイドをする時にはまったく逆に、自分が感じた記憶とお客さんやクルーからの情報を動員して意識して乗りやすさのパートを説明します。

で、アレも好きコレも楽しい、の引き出しをいったん閉じて、健ちゃんのその質問に古〜い記憶もできるだけ掘り起こして、"乗りやすさ"で強く印象に残っている板を探しました。
ちなみにロングボード、いつも話題になる通り、一言で言ってもたくさんのサーフデザインがありますから、ここで健ちゃんがフォーカスしてるのは一番普通のロングボード。
お分かりですね。

そこで私の記憶の中から飛び出てきた板があります。
これが何かってのは、話のこの段階ではバイアスがかかるといけないので、一旦置いておきます。
私はその板を健ちゃんに説明しました。何本か修理で山王に持ち込んでいるので、健ちゃんも見れば分かるはずですが、けっこう前なので忘れちゃってるみたい。
さらにちなみに、私はエムズで扱う板以外にも気になる板は他所で買っても乗ってみるタチなので、この話の範囲はかなり広い。

で、一昨日はその話、そこで終了。
そして今日の話につながります。


話は戻って今日の話題の健ちゃんの、あれこれ持ってる中のその板、けっこう前だけど下ろしたその日に地元で一緒に波乗りしたので私も3本くらい乗せてもらいました。
健ちゃんは自分自身のシェイプした板はもちろん、超のつくベテランなので貴重なレジェンドの作から始まっていくつかの板を大事にしています。自前シェイプではない、その中の1本の話。

数年前のその日の波はだいたい腹くらいで、ちょっとオンショアの入った面の整わないコンディション。
私のその時の印象は、乗り味が固い、そして波の面の悪さのせいなのか何カ所かのパートが水に引っかかったり、くっついて離れなかったり、ちょっとギクシャクした操作感。
ただし、走ることろに板を運んで上手くセットするとすごい勢いと安定感でぶっ飛ぶ。

その板に乗るチャンスはその時だけだったので、その1本が持つシェイプの固有の様子として記憶していました。
そして今日の山王で、健ちゃんはその板にいくつもの発見をして研究した結果を私に説明してくれたのです。
あるキッカケが元で、ここ最近集中して研究したそうです。

その板、素晴らしい板なんですが、不思議なほど不自然に不整ないくつかのパートがあります。
それはいわゆる出来の悪い板に当たり前に見つかるガタピシとは違って、なぜこんなに良いデザインのこの板にこういうところがあるの?、と不思議に思うような不整。

その一つ一つを健ちゃんが、ほらここからこういう風に見てみてよ、って感じで場面をあれこれ変えて触りながら説明してくれる。
するとわずかな不整がどんどん見えてくるわけです。
この授業、リッチも年中やってくれるし、私もこのようなクラスの板を預かって現場に数えきれないくらい通って35年ばかり。
私も、先生達とその作品を題材に勉強させてもらいました。

そこで、たった一度その板で波乗りした印象がはっきりよみがえったワケです。
あれは、波の問題じゃなかった。あの感触や起きたことは、今健ちゃんが見せてくれた各部の起こしていたことぢゃあねえかい!、と。

私たち、ありがたいことに世界でもトップの素晴らしい板を預かってお届けして、もちろん私たち自身もそういう板で波乗りしてます。
それ以外のいろいろな板を見る機会も多いし、そもそもあらゆる板達がリペアで持ち込まれもします。
ですから、?がいくつも付く板はそれこそたくさん見る機会があります。
普段からそれらの不整が、サーフィンにどういう事になって現れるかも理解しています。

しかしながらね、当の私たちの身の回りにある、素晴らしい板に仕込んまれたその不整。それも見る目で見なければ分からない仕掛け。


ちょっと脱線してね、さすが健ちゃん、例えばリッチのあらゆる最高度なシェイプのグラスを任される。単に任されるのではなく、それぞれの超細密なカタチのすべてを健ちゃんがリッチのイメージする最終形に現すことを知って、あるいはミーティングして共有して、姿を造るプロセス。

これはシェイプした板をグラス出来る職人がグラスする、というサーフボード作りとは根本的に違います。
山王で起きている事は、リッチがシェイプした板を健ちゃんがグラスというシェイプで仕上げるという造りなのです。


話、戻しますね。
シェイプはそのサーフボードのサーフィンに、いくつもの要素をもたらします。

そこで健ちゃんと私は(いや、実際の作業は健ちゃんがするんですけどね、もちろん)、その板を修正あるいは実質的な修正をして、さらに進化させる作戦を実行しようよという考えに至りました。

ちょっ時間もかかるプロジェクトです、次の展開をお話しできるまでけっこうな期間が要るでしょう。
だから言ったの、忘れた頃に思いだしてくださいね。

これね、芋づるですごく面白い話になるはずですから、ホント。
では、また。

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