2018のカスタムオーダーを受付中のPAVEL。
すでにいろいろなサーファーから、オーダーのご相談やカスタムオーダーをいただいています。
PAVELページのモデル紹介でご覧いただけるように、そのバラエティは60モデル以上にもなります。
そこからさらに一つ一つのカスタムオーダーに対応したバリエーションやチューニングとなると、これはもうカウント不可能な展開になります。
PAVELのカスタムオーダーが始めての方には、ご希望のイメージに合うモデルを選んでいただくのも良し、モデルが特定できなければご希望のサーフイメージをエムズにご相談になって一緒に見つける事もできます。
リッチ・パベルのサーフボード・デザインはあらゆるカテゴリーに及びますが、今日はたまたま最近お問い合わせが重なったハルの話。
それも、PAVELにはいくつかのハル・デザインがある中から、MONOを。
リッチさんはMONOのサーフデザインに、ハルのシンプルなのにとても濃い波乗りフィーリングに、他の誰も思いつかないダイナミズムを持ち込みました。
この、シンプル、というところにキーがあります。つまり多くのハルライダーが夢中になるハル・フィーリングの一番の特徴は、サーフィンにおけるマニューバーとは対極にあるとも言える"ターン感触"と"不思議なスピード"にあるでしょう。
この感触とスピードを、従来の典型的なハルでは得られないクラスにまで引き上げてしまったのです。
同時に高いマニューバー性は"ほぼ"あきらめざるを得なかった従来のハルに比べて、ハルらしいライドのマニューバー性をうんと拡大したのです。
ハル、あるいはディスプレイスメント・ハルは以前、そのマニアの間ではスタビーとも呼ばれていました。
これは単純に、その頃の典型的なハルのカタチからくるイメージが愛称化されたものです。
現在ではハルがたくさんのサーファーにとって以前よりも身近になったことで、他のデザインとの区別がつきやすいように分かりやすくハルと呼ばれますね。
さてこのMONO、モデルとして確立するキーパーソンがここで写真も紹介するジミー・ガンボア。
MONOの元になったボードはずいぶん昔にリッチがデザイン・シェイプしたもので、長い間ジミーに貸し出されたまま彼のラックの中で大事な1本として、しかもシゴかれていました。
どのくらいシゴかれていたか、飴色に焼けたクリアとデータ取りのスキャンのために元のシェイプの面再生がされた状態の写真で分かるでしょう。
この板は筋金入りハルマニアの間では知られた1本で、10年ほど前のサーファーズ・ジャーナルのハル特集でジミーとともに取り上げられていますが、その板と彼の波乗りの本当の凄さはむしろ口伝えで知られたのです。
で、そのジミーがなかなか返してよこさなかったオリジナル、たしかあれは8年前のある日、私がカリフォルニアにいた時にリッチが私に見せてくれました。
その時がジミーがどや顔で見せる、おニューのMONOの写真です。
サイズは、6'11"、オリジナルと同じ長さ。そしてリッチはジミーのためにほぼ同じプラットフォームのMONOでありながら、レールとボトムに少し違うチューニングをほどこした2本を用意しました。
実はその時の2年前、やはりリッチとお馴染みのお寿司屋さんで晩飯を一緒していた時に、私は例のサーファーズ・ジャーナルにも載っていたあの板の復活リクエストをしていたのです。
2年後のその時リッチは私に、今日ジミーがある板をピックアップしにサンディエゴに来るからみんなで一緒に晩飯にしようよ、というわけです。
で、どれどれどんな板だい?、と見れば、おいおいコレはアレぢゃねーかい!
そこから、オープンマインドなハルライダー達に未来のハル・ライドを、MONOのストーリーが始まり、そして今日。
さてここで紹介している佐藤英進シェイプの、UNI。
とてもよくMONOに似ていると思いませんか?
よく似た板を削って偉いね!、なんていうバカな話がしたいワケじゃあありません。
そんな上っ面をマネしたようなシェイプなど、誰も誉めちゃいけません。
佐藤英進は日本でただ一人、リッチ・パベルが自分のデザインと技の一部を分け与えるシェイパーです。
ですから、リッチのオーソライズの元、いくつかのコピーシェイプを学びながら修行しています。
このUNI、それとは違うプロセスの限定シェイプです。
2年ほど前、リッチと私たちはストックのためのMONOを製作しましたが、その中でプランシェイプ途中のまま、バブルパックされてエムズにしまっていたままのフォームが3本だけありました。
私たちはその3本を英進君にゆだねてみました。
もちろん英進はエムズで何本ものMONOに触れていますし、その超絶デザイン・シェイプについて何度もディスカッションしています。
この3本に仕込まれようとしているデザインを読み出しながら、今まで学んだMONOのコンセプトと調和させて仕上げるというミッションですな。
まずは1本、デザインとシェイプを完成させてどんなものに仕上がるか試してみなきゃしようがないという事で、でき上がったのがコレ。
先日仕上がったこの板はその後すぐに英進自身の手によって、たまたまプランされていた北海道ツアーに持ち込まれました。
photo by Mojane,
その結果、削った英進自身が驚くほどの、MONOの持つ仕掛けの壮大さとダイナミクスがこの板にも現れました。
単に今まで学んだMONOのデザインをコピー再現するのではなく、この途中までシェイプが進んだフォーム達に仕込まれようとしたチューニングを想像して読み出して、破綻の無い板に仕上げるというプロジェクトです。
PAVEL MONOとリッチへのトリビュート、MONOじゃないけど、兄弟みたいな板。
だから、UNI。
この板は2本だけの限定で販売します。
ご興味のある方はぜひお問い合わせください。