ストックに出来上がったばかりの、3本のPAVELを例にとって見てみましょう。
グリーンつながりは、偶然です。こちらの板達も、もうすぐストックページにアップします!
シェイプとグラッシングは一心同体が、ゴール。
すごいシェイプも、同じステージのグラッシングがなければ、"いい板"にはならない。
だから、一心同体というゴールにたどり着くのには高い壁があります。
シェイプというステージでは、デザインから始まり、ロッカーとフォイルとフォームの性格やストリンガーの選択などを含めたブランクス選び、そして最後にシェイプそのもの。
<5'7" Will & Grace / VARIALフォームを使用するスペシャル・エディションですからシンプルな姿がカッコいい。
フィンも、もちろんリッチによる専用テンプレートの両面フォイル。
そこでフィンの積層板製作のプロセスで、ちょうど真ん中にわずかな厚みで濃いグリーンのグラスをサンドイッチするという、超マニアックな仕業を。
フィンの縁、特にトレーリングエッジ側にほんの少しグラデーションが見える。
やり過ぎ!?>
では、グラッシングというステージで何が左右されるかというと。
まずはなによりシェイプされたフォームにグラスファイバーを巻かなければ海に入れないだけでなく、サーフボードとしての基本的な強度が与えられます。
シェイパーがデザインしたその板の機能性にフィットするフレックスや重量がコントロールされるのもここでの役目。
グラスファイバーのラミネーションのクオリティしだいで、同じマテリアルを使っても強度や板の寿命も変わります。
これらと併せてもっとも重要なのは、シェイプに限りなく忠実な"カタチ"にフィニッシュすることです。
<6'8" GP QUAD FISH / ゲッピーさんお気に入りのモデルに敬意を表して、デッキのカットラインはビークカインドを意識したカーブ、そこにさらに控えめに白のレジンピンライン。
彩りを控えめにしたぶん、レジンピンの"つぶし"を甘くして立体感を楽しんでもらおうという手。
波待ちしている時にちょっと目に入ると気分が上がります。>
ここで肝心なのは、優れたシェイパーはシェイプがされたフォームがそのサーフボードの最終形なのではなく、グラッシングされた最終形をデザインしている、ということですね。
ですから"優れたシェイパーのいいシェイプ"はグラスワークによって変化するし、コントロールされるものなのです。
グラッシングのクオリティや、つまりグラッシングが"どこまで出来るか"によってシェイプする姿をコントロールし最終形のデザインを変えられます。
ベストなグラッシングと組めばデザイン要素をすべてシェイプします。
その一つの例が、"PAVEL 山王"です。
このレベルはワールドクラスで見てもそう多くないんですよ。
<7'4" Scorpion Bonzer 5fin / こいつの色もまた、和との融合。すべての板の同様に、1本ずつ作る専用の積層板から作るボンザー・サイドフィンにはもろにティー・グリーンを。
リクエストによって、ボックスのセンターフィンもカラーのご希望にお応えします。
なんたって、サイドフィンとセンターフォンは厚さの違う積層板が必要ですからね。
ご希望であればこの板のようにすべてのフィンのカラーマッチも可能です。>
PAVEL 山王の板を楽しんでもらっているみなさんには、ややこしいテクニックやプロセスについて知っていただかなくても、とにかく板と極上サーフィン体験が目指すところです。
もちろんそういうことにも興味を持って、喜んでいただけるのも私たち製作陣にとっては嬉しいこと。
カラーやいろいろな装飾要素も、板を所有するサーファーにとってはお楽しみポイント。
だから私たちはそういったディテールにも、テクニックと洒落っ気の両方を表現します。
そんなところも、ぜひ楽しんでください。