PAVEL OTTER
知ってる方や、質問にお答えした方もいると思いますが、オッターは同じ名前を名乗りつつ色んなバリエーションがあるモデルなんです。
リッチはそういうモデルがいくつかあるんですが、そうですね、特にオッターはバリエーションが多いんです。
オッター、って、あれです。カワウソ君。
リッチはね、フレンドリーなところを表したくてこのモデル名をつけました。
つまり、オッターはPAVELボードの中でも波やサーファーを選ばない万能器として、いつでもどこでも超フレンドリーというサーフデザイン。
で、そういうポイントは他のモデルたちも持ち合わせていたりするんですが、そこで一つきわだつのはね、強いキャラクターを与えていないというところです。
こう言うと、なんか個性がなかったり乗り味に特徴がなかったりなんて誤解しちゃあ、勘違い。
ただお味の無いサーフボードはいくらでもあるけど、PAVEL OTTERはそのサーフィンの基礎的なすべての要素に対する性能(と、言いましょう)がものすごく高いところにデザインされています。
普段使いにガンガンお伴するのに、超上質器、というどこにも無い存在と思っていただいて良い。
そういうオッターなので、リッチはバリエーションの発想とデザインが止まらないわけです。
もちろん、どれがどれよりいいよ、ってことはなくて、いろいろな選択肢という発展です。
今回、リッチが来日時にデビューさせたこのOTTER、どれも同じ名前の中で私たちは区別上ニューオッターな、って呼んでましたが、とにかくOTTER。
実は昨年秋、私が例によってカリフォルニアに訪れた時にリッチが新しく用意しておいてくれた板がその原型モデルになりました。
今までにもミッドレンジにフォーカスしたオッターのバリエーションはありましたが、このモデルは私たちが日常的に出会いがちな波のコンディション、つまりたまたまクオリティの高い波や特に大きめだったりでなければ多かれ少なかれパワーに欠ける日本の典型的な波での、そのパワー不足を補ってくれるデザインが大きな特長のひとつです。
さらにはPAVELボードに共通するターンや動きのすべての質の高さ・速さは基礎の特長です。
ですから、波に恵まれればそれはもう別次元、というステージに変わりはありません。
シングル・2+1・クアッド・トライフィン、と4つのフィンセットアップにアジャスト可能。
でまあ、ここまでこのニューオッターの説明をさせていただいたんですが、今日お話ししたいのはね、タイトルにある通り先っちょのこと。
ノーズのね、先っちょの話。
さすがにここはね、波乗りしません。つまりまあここまで端っこだと普通どう考えても波乗りを変えたりはしません。
ですが、私はこのシェイプを見た時に、ここには注目してしまいました。
写真、削り上がりのを見ていただけば分かるように、角が立ってるでしょ。
しかもやだ角立つだけでなくその、デッキの仕立てとボトムからのカーブと、さらにはレールにもあからさまに表情をつけてあるじゃないの!
だから私はリッチに訊きました。
これさ、何たくらんだの?
そしたらね〜、リッチはちょいと嬉しそう言いましたよ。
デザイン、だぜ!、って。
笑いましたよ。いやね、可笑しいんじゃなくてね、あまりにそのカタチがキマってるもんだったから。
こういうことよくあるんですがリッチはね、このモデルにも閃いたんだね。
たまたまだけど、何かとても小さな決定的なサインをつけようと思ったんでしょう。
でもね、デザイン・シェイプの他の流れを無視していきなりこの先っちょだけをこのカタチにしちゃったらね、そりゃもう超イケてないことになります。
全部のデザインが隅々まで描かれているからこそ、このウルトラ端っこがこのカタチを選ぶことができるってわけです。
出来上がりの板の先っちょはカツンカツンに角立ってないじゃないの?、と思っちゃいけません。
最初から、グラスされることをデザインしていますから、この巻き上がりででてくる表情がフォーカスなんです。
ただね、こういうのだって分かった職人だからシェイパーがどう仕立てて欲しくてカタチにしてるのかが分かるし、本当にそう仕上げられる。
超人同士の呼吸、リレーションね。
もちろん同じこの先っちょでも、ご覧の通り板の長さや厚さなんかで変化します。
ちなみにリッチは来日シェイプのためのスペシャルブランクスに、自分でキープしているストリンガー用のとても上質なウッドマテリアルをあえてUSブランクスに提供してくれるんですが、写真でも見ることができるように(特にこういうダークウッドではよくわかりますね)、とても素晴らしい木目が現れています。
これは単に杢が良いと言うだけでなく、シェイプのプロセスでのリッチのストリンガーを仕上げる技があってなせることですね。
しかも単に綺麗なだけでもないよ、グラスにも大きく影響するポイント。
仕上がった板の顔つきはもちろん、うんと説明されなきゃ分からないクオリティの理由が山ほどあるんです。
でね、つまり、このオッターに乗るサーファーが、この板最高!、ってなれば万事オッケーです。
ただ、ここはこういうこともお話しするページなんでね。