サイトの中では何度かお話していますが、昨年と今年はPAVEL来日シェイプのスケジュールが遅れてスタートになりました。
仕方ない状況がいくつか重なってしまいましたが、お待ちいただいている皆さんごめんなさい。
どれもちゃんとクリアされないとオーダーいただいた板たちも満足な製作に至らないので、どうぞご理解ください。
さて、とはいえ、リッチは4月12日の我が家到着以来ととてもいいペースでデザインとシェイプを進めています。
いつものように断片的ではありますがサイトの中でいろんな角度から様子を紹介に努めていますので、御用とお急ぎじゃないみなさん、ぜひ毎日サイトを見てやってください。
到着早々には我々がスペシャル・ブランクスの手配をお願いしている、US BLANKSの輸入元さんの倉庫に行ってブランクスのチェックにも時間をかけました。
そうこの一部の写真をご覧いただきますが、ここにみなさんの板のために準備しているスペシャル・ブランクスが、どっちゃり積まれています。
そんな中で今日はここ"backdoor"ページですんで、つまり甘いのと辛いのとけっこう幅広く、ですからスパイス入りでここまでの2週間の話を。
いきなり何でリッチの後ろ姿かと申しますとね、私たちが先日ファクトリーの近所に散歩に出た時のもの。
ヘッタクソな写真で恐縮ですが、撮ったのはリッチの履いてるジーパンの尻の下にプリントされてる虎の絵。
このジーパン(の話をみんなで家でしてたら、せがれが曰く、デニムって言ったほうが世間体がいいぞ最近わ、と助言されたけど)、一昨年ウチの方のにぎやかなショッピングモールの中にある◯ニツカ・タ◯ガーさんで買ったんだけど、人にバレないスニーカーが欲しくてそのお店に立ち寄った私に付き合って入ったリッチが気に入ってご購入。
私も昔から何度もこだわったつもりで、周り(たって、ごく仲間内くらいのもんね)に、俺はジーパンやっぱもう501しか履かないもんねー、とか言ったくせにちょいちょいは違うの求めたりするいい加減をやってます。
ところがまた近年501に戻して、前と同じようにカリフォルニア出向いたときに、それも今じゃイカした兄さん姉さんは立ち寄りもしない昔ながらのデパート屋さんのリーバイ売り場だわ。
そういうとこじゃないとウエストとレングスが揃った501が買えない、今はもう。
もちろんこれはスパニッシュさんたちと同じような体格の私の都合で、うんと足でも長けりゃ日本のお店でも買えるのかもしれないけど、何せリーバイは切っちゃカタチが変わっちゃいますからね、それだと501がどーのこーのとか騒いでも無駄。
そういうのを、出だしのダッサいパリパリのとこから履く。3年くらいは青〜いよ。
リッチはというと、彼はいいものを一目で見切る感覚の持ち主であるが、あまり服やらにエネルギーを向けないタイプ。
それがファッション、流行ね、という領域だともう、ほぼ無視。
たまーにバリ周りで来たときなんかに、珍しくちょいとスキニーなパンツじゃんよ、とかいうのを間に合わせで履いてたりしても二度と見なくなる。そういうのしか無いんだね。
自分の目、それだけ。
そういう者の作るサーフボードっていうわけです。
全てがオリジナル。仮に以前にあったものでも、そういう者の手から放たれる時にはすでに強烈なオリジナルと化している。
そういう者が作るサーフボードには、代わるものがないんです。
それがすごくって、後に続くものが流行にすることは多いけど。
そういえばマニーもちょいちょい面白いこと言う男で、笑えるスパイシーな物言いで、僕はロックスター系シェイパーじゃないからスキニージーンズにブラックスニーカーやらん、なんてね。
ことの本質は共通である、と、あらためて感じた次第。
さてその散歩の寄り道は、ファクトリーの近所の氏神様、山王神社。
覚えていてくださる方もいると思いますが、リッチがファクトリーのことを言いやすもんだから"San'o"つまりさんのーというので、いつしか私たちは"後で山王でね"みたいに言うようになったわけです。
そして世界最高レベルのPAVELに証を示す必要があるね、ということになった時にお借りしたのが山王の御朱印。
これを逃げも隠れもしない、本家PAVEL印に小さく加えればその一つで全てが足りる、と。
それがみなさんの波乗りのお伴をするPAVEL・山王ボードというわけです。
サーフボードの名札ですからね、流行風のデザインじゃ終わってからシラけるでしょ。だから流行りも廃りもない、常に今のシンプルな銘を1本にひとつ。
今年の製作はいきなり9'8"のGUNから始まり、新たなデザイン・KAI QUADとGOLDEN PIGが生まれ、VARIALブランクスの展開もスタートしてます。
で、いつものようにまだまだ盛り上がる話題が出てきますからね、ご期待ください!
でも新しいのも楽しんでいただきたいのと同時に、みなさんのお好きなのを選んで乗ってくださいね、というのをお伝えしたい。
こういう板、新しい古いは、無いですから。
そうだ、去年から温めている板もひとつ紹介しますよ。
なんと、オルタナティブな我々(この話はちょうど昨日、リッチにも大ウケしたとこ)が放つスラスター。
リッチの実績を知る人には常識のひとつなんですが、彼のシェイプするスラスターは名だたるトップ・コンペティター達にもフォロワーが多いんです。
ただそれはどちらかというと、それを知る人たちからのリクエストに応えるカタチに留めてきました。
逆にスラスター・サーファー達も多くが違うサーフボードを求め始めて、私たちのところにも来てくれます。
ところがです、そういういろんなサーファーが"オルタナティブ"を体験してより本質的に向上し始めると、そこで初めて提案できるスラスターがあるのです。
スラスターのシーンはとっくに捨てた、あるいはもう既に知らない人たちも多い、80年代の板の絶対的機能性。
そいつをレトロ流行に仕立てるんじゃなくて、この30年分の進化を全部入れしたデザインに進化させたら?
これはね、逆にスラスターを知らないオルタナティブで育ったサーファーにも、一度スラスターから離れたサーファーにもヤバい板ですよ。