PAVEL 6'0" Klinker 6 Channel Twin-fin,
こちらBackdoorページで9月27日に取り上げたトリビュート・シリーズの1本目に続き、今日はシリーズ2本目を紹介しましょう。
実はね、シリーズなんて言ってるけど、ホントはシリーズ構成を意識して造ってるわけじゃないんです。
アイデアを共有したので表現しやすい言い方なのでね。
いつもの事なんですが、リッチさんはみなさんからのカスタムオーダーでもフリー製作する板でも、謎かけというかデザインや発想そのものに仕掛けみたいなものを込める事がちょいちょいあります。
ですから私もその顔造り、つまり色やカラーデザインなんかですね、そういうところでリッチのその仕掛けにからんでみるわけなんです。
1本目のV-Lnadでは、そのサーフデザインはスティングという共有ポイントをきっかけにしてとある本に取り上げられたオリジンのカラーリングを再生してトリビュートを表現してみました。
で、今日紹介するこの板は、同じリチャード・ケンビン氏著になる"SURF CRAFT"に取り上げられた、1979年製の故マイク・デフェンダッファー作のツインフィンをトリビュートしました。
この本に載ったオリジナルは6'2"のツインフィンで、大きめなドロップウイングを持つダイアモンドテール。
デッキには樹脂カラーの細身のラインと、たぶんインクの黒ピンがコンビネーションされた、控えめでとても洒落たデザインがされています。
板自体はカットラインも見受けられないところを見ると、クリアで巻かれて程よく焼けた、しかもとても良いコンディションのままキープされた板のようです。
当時、ツインフィンが世界中のサーファーにインパクトを与えたその時代のシェイプの中でも、さすがDIFFらしいスピード&ドライブを強調するであろうデザインが、写真からもぎりぎり見て取れます。
さて、こちらPAVEL TWIN KLINKERは当然のことながらまったく違うデザイン・シェイプでして、リッチお得意の本格フィッシュ系加速フォイルを持つプランシェイプに、クリンカー6チャンネルとツインフィン・セットアップが組み合わされた大胆にして本格的なサーフデザイン。
実はここがトリビュートの切っ掛けにもなる、ダイアモンドテールとテールエンド寄りの小さなドロップウイングはツインフィンの積極的な回転性に、ダウンザラインやカービングのラインホールドを強力にヘルプする役割をするところがリッチの魔法。
もちろんクリンカー6チャンネルは、スーパー滑らかなレールtoレールとカービングを、さらにすべてのターンにドライブを加えます。
リッチさん、この板を削り上げたその後、ニコニコしながらサインを指差してこれがDIFFをトリビュートしたアイデアを内包する板だってことを私に知らせた。
そこで私はすぐに顔造りのアイデアを思いついたっていうワケなんです。
単にベースになる色を似せるんじゃあ面白くないから、私たち山王クルーがこの2年ほど取り組んでいるまるでビンテージ感覚のカラー造りのバリエーションから、このかなり難しいティントを選び出しました。
さらに、樹脂のラインとインクの黒ピンはそのまま表現することにしました。
ところがオリジナルとは違って、こちらは樹脂カラーで巻きますから、デッキのカットラインを目指すアクアブルーの樹脂ラインにあらかじめセット。
ものすごく雰囲気のあるビンテージなティントカラーに、オーガニックにラインデザインが組合わさったと思います。
いつも通り、フィンにも板とまったく同じパワーを注ぎますから、積層板の精度からリッチ直伝のフォイルまで超高度な製作に、この板を手にするサーファーにシビレてもらいましょう、このフィン色。
山王クルーが熱く製作する板、シンプルなものからひねったものまですべて、この精神。