
今回オーダーいただいた、PAVEL Sunshine Coasterのうちの1本。
今日出来上がってこれからお客さんにお知らせします。
最高の板に最高のグラスワーク、ですから私たちもかなり凝ったアイデアや技をほどこします。
一見してシンプルな板でもそのカラーはかなりひねってみたり、もちろん一つ一つのプロセスにはたくさんの秘密が隠れているのです。
そこいら辺はビルダーの秘密(企業秘密,って言うとさ、なんだかカンパニー臭くてね)もたくさんなので、分からないようにしたりもしなくちゃいけませんが、今日のこの1本は説明付きで紹介しちゃう。
そんな風に色もアイデアだけじゃなくて、技ありがウリですから、カスタムオーダーをくださるみなさんからは実は、色はお任せします!っていうこともけっこう多い。
もちろん傾向みたいなことは訊ねたりもするんですが、中にはぜーんぶ任せというケースも少なくありません。
で、お付き合いさせていただいてるうちに、私の手を面白がってくれたりしてくださるとね、意外な手やなんかもやらせていただく。
今日紹介するこの板、ファブリック・インレイもグラスオンのフィンも珍しいってワケではないんですが、そのマテリアルと細かいコンビネーションや、小技(大技はもちろん仕込み済み)がいくつもほどこしてあります。
そうは言っても、ファブリックのインレイは最近あまり見ませんけど、こうして見ていただくと流行っても廃らないものはアイデア次第で新鮮だと思います。
このファブリック、勘のいい人はすぐ分かる、そうです着物の生地、それもちょっと古いものです。
我が家にはそういう着物生地のコレクションがあってね、もちろんサーフボード製作に使えるものそうでないものがありますが、とにかくこの1本には閃いたので提供しました。
柄が云々というところもありますが、この生地の色の雰囲気から逆にサーフボード全体のカラーとインレイのアイデアが出てきたっていう順番。
こういう盾を形どったのを私らはシールドなんて言いますが、つまりこのインレイのスタイルはダブルシールドってヤツです。
ファブリックインレイの手法はいくつかの手順やプロセスの選択がありますが、私たちがほどこすのは出来上がりと強度の両方にベストな技。
ボトムとデッキを色変えで巻いてもファブリックと全部でやかましくならないように色の洒落優先です。
オーダー主さんはカスタムフィンのグラスオンがご希望です。
そこで、せっかくのインレイ、それもダブルシールド・デザインですと当然ピンラインも多くなりますからね、そこを活かすよと。
私たち、基本樹脂ピン(ピンラインを顔料樹脂で引く手法ですな)がですから、じゃあフィン製作のカラーレジンとピンを揃えちゃう。
もちろんカスタムフィンは最上のフォイル(これが肝心でして、これでフィンなんかぜんぜん変わっちゃいますよ)のワンオフ積層板からの製作です、贅沢!
その樹脂ピンもつぶさずに、残しの手。
これも板の顔にとても効果的な表情を与えますよ。
この手はそのあとにコートされるグロスレジンの仕上げ、つまり空研ぎして水研ぎしてポリッシュなんだが、そこにもうるさいよ、と。
そしてもちろん、PAVEL 山王がエクセレントの証ですわい。
サーフボード、シェイプが良きゃいいんだなんて負け惜しみみたいなみっともないこと言っちゃいかんですね。
その色と顔はサーファーを盛り上げるし、なにより"正しく、良い"グラスワークは実は機能を左右します。
そのぜんぜん向きの違う意味が全部サーファーの経験と手によって造られるから、この世の中でも珍しい逸品なのですよ。
だってサーフィン、何より特別じゃない!
あ、始まりはデザインとシェイプ、からっていうのは理でありますね。
