2015.04.18 UP DATE
真相やら深層

私たちはサーフボード製作に関わっているので、それはそれはいろいろな関わりの人たちと合ったり話したりする機会があります。

デザイナー・シェイパー、ファクトリーマン、素材関係のメーカーさんや技術者さん、ホントにもろもろの関わりの人たち。

今エムズにはリッチさんが来て製作を開始しましたからね、さらにいろいろな場面に関わる人と話しますよ。
昨日もあるベテラン技術者の先輩と話すことがあった中で出てきた話。

その人物はたくさんのシェイパーやメーカーさんがあてにする仕事をいくつか携わっていて、しかも日本のモダンなサーフボード・インダストリーが始まったその時代から製作に関わるたくさんのノウハウを持つ人。


そんなわけなので仕事上で扱うサーフボードもあらゆる種類に及びますね。
ショートボードのシーンではコンペティションのための板のデザインをフォローすることが多いので、世界的な指向性も日本の中での指向性も両方見てたりします。

で、いきなり言い出したのは、"リッチさんがやってることって、ショートの世界ではこれからやろうとしてるそのまた最先端だよ"、と。

デザインのたくさんの要素は何処かひとつだけ取り出したりしてもあまり意味を成しませんが、例えばこの話題はデザイン・シェイプ上のフレックス・コントロールについてです。

私がリッチのデザインについてみなさんにお話しする時にフレックスというフレーズが良く出てくると思いますが、もちろんそれは彼らからその様々な要素とバリエーションがいかにサーフィンに作用するかという事を学んでます。

で、その先輩が言う事にはつまり、リッチがデザインとシェイプにほどこしているフレックスについてのデザインは、今もっとも進んだショートボード・デザインが求めているそのものだっていうことです。

またとても肝心な要素なんですけどね、たまたまこれはショートボードとの相関性についてですけど、リッチはすべてのボードデザインでフレックスについて語ります。
これは、フレックスの大小や特定のパターンが良し悪しってんじゃなくてですね、サーフィン上でフレックスの起きないサーフボードは無い以上、フレックスと板のデザインがコントロールされなくちゃいかん、と、こういうことですわ。

もちろん、ロングボードからショートボードまですべての板にとって重要なデザイン要素です。
それがコントロールされれば、こりゃもうサーフィンにエラい影響があるわけです。

それには、ブランクスが何であるのかどういう性格なのか、ストリンガーが動的にどのデザイン・シェイプにどう働くのか、グラスとグラスワークは?。
もう、すべてですね。

それらについてリッチはいつも考えとデザインとサーフィンの結果を持っているので、製作においてはすべてについての選択肢や指示も持っています。
ですからリッチとの製作作業はぜんぜん別物です。

そしてそのリッチが言う、世界で一番高度にサーフボードを造り込める環境がここ日本での製作で、"健ちゃん"がひとりでその全部を受け持ちますからこれ以上の純度は望めません。
日本のPAVELファンはもっとも幸せです。

今日はそんな話題が先輩から出てきましたが、先日はこんな事もありました。

IMG_2988.jpg

オーダーいただくみなさんには必ず説明する話ですが、それぞれの板には何よりまずブランクスが必要ですが、これを1本1本細かく決めた仕様に別注するスペシャルブランクスをカリフォルニアのブランクスメーカーに発注するわけです。
みなさんも名前は聞いたことがあるでしょう、US BLANKS社ですね。

そのブランクスは世界でもっとも信頼されていますが、日本でも同様にたくさんのシェイパーやメーカーに採用されているので、私たちの業界にはその輸入販売を担当する有名な会社があるんですね。

で、そこは湘南エリアにブランチがありますから、エムズは各カスタムオーダーに応じたブランクスの仕様と詳細をそのインポーターを通じてメーカーにオーダーします。
そしてめでたく(ブランクスの納期に予定よりも時間がかかったので、スタートを遅らせましたが)その倉庫に我々のスペシャルブランクスが納まったわけね。

私はリッチが来日するとすぐにその倉庫に出向いてブランクスのチェックやら細々したあれこれにお邪魔しますが、そこで出会ったのがこの写真の物珍しいブランクス。

業界でも見たこと無い人はまだほとんどのはずですが、それもそのはず、まだ入り立てホヤホヤの聞いた事も無い代物。
その名は、VARIAL、ヴァリアルというのかな。

まだまだほとんど知られていませんが実用的にははすでに高い評価がある材料で、何よりまず高い!
簡単に言えば、普通のウレタン・ブランクスの3倍の値段。

そしてウレタンでもスタイロでも、どちらでもない素材。
それなのに、グラスに用いるレジンはポリエステルでもエポキシでもオッケー、と。

ところでストリンガーが見当たりませんが、ストリンガー要らずでサーフボードそのものの強度を余裕で満たす素材で、NASAがまともにたくさんのパートで利用しているという宇宙素材なんです。

これをクレックス・コントロールに活かそうというのがこの素材の前衛的なところでして、ウレタンであろうとスタイロであろうと基本的な強度をまかなうストリンガーを省く事ができるというほどの強度があり、かつフレックスに優れるというのがインポーターから聞かされた簡単な説明。

ということはこのソリッドなフォームだけで、あとはレジンやグラスのレイヤーの性格や番手などの組み合わせでいかようにもフレックスパターンをコントロールしたサーフボードを造る事が可能という理屈になりますな。

もちろんそれらが波乗り上どのように反映されるかは、いろいろやってみなくちゃ分からないというのは事の常です。

このブランクス、本家カリフォルニアでもまだごく一部の、それもショートボード系のシェイパーとライダーが試している結果で実用性が確認されているくらいで、まだ2型しか登場していません。

それがインポーターに入って間もないタイミングでリッチは訪れたので、さっそく何かデザイン・シェイプして日本で試そうぜという成り行き。

リッチはその不思議な能力で、きっとこのフォームに試す価値のあるデザインのアイデアが浮かぶんだと思いますが、いったいなんでそういうデザインを、さらにそれがどんな風に働くイメージなんだい?、みたいな報告ができると思いますのでね、お楽しみになさってください。

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