この板はフィン選択についてのご相談や質問も少なくありません。
トリスタンはVELZY CHIPから得たキール状のテンプレートと、クイッグやキブリン等が用いたアップライトなテンプレートの大きく分けて2種類のフィンを開発・デザインしています。
マリブ・チップは来年5月の来日製作分ですでにオーダーいただいている板、またご検討中の皆さんの板についても、このフィン選択については必ずご質問があります。
このポイント、すでに以前から文献やインタビュー記事で語られた内容や私自身がVELZY CHIPでのサーフ体験で得ていることなどを合わせた知見に加えて、何よりトリスタン自身から届いているリアルで最新のインフォメーションを中心にお話ししましょう。
実際に板そのものをデザイン・シェイプしている張本人の情報ですから、皆さんのオーダーに役立ちます。
トリスタン自身は彼のインスタでのポストや私に送られてくる写真のエムズでのポストでもよく目にする板、イエローのマリブ・チップ、あの10'2"にはVELZYテンプレートのフィンをセットしています。
またもちろん、地元や先日のカリフォルニア滞在時には現地で製作したクイッグ系のフィンをセットしたマリブ・チップでの波乗りを重ねています。
辻堂での小さくて風の入ったプアな波から地元やカリフォルニアでのグッドサーフまで、たくさんのバラエティの波でサーフしています。
そしてトリスタンのフィン選択についての答えがこちら。
VELZYテンプレートのキールはフィンそのもののドラッグの小ささによるスピードに優れていて、波のフェイスでのポジション・トリムも例え小さな波でもとても柔らかく優しい。
特別大きな波でもなければビッグターンでフィンが抜けるスピンアウトも無いし、すごくパワフルで大きいドロップニー・ターンよりもカジュアルなドロップニー・ターンが向いている。
もちろんスムースでナチュラルなターンにフィットする。
ちなみにほぼすべてのサーフボードがマリブ・チップだった時代、ビフォー・マニューバーとでも言える1940年代から50年代の半ば頃、このタイプのテンプレートが多く用いられましたが、その頃同時にチップを起点として大きなテールにこのタイプのキールを2本組み合わせるアイデアへと向かったシモンズを見ても、いかにこのテンプレートがスピードに優れていたかを知ることができます。
一方のクイッグ系は大きな波でのビッグターンや、パワフルなドロップニー・ターンで有利。
このクイッグフィンはチップ時代当時にはスピードフィンなどとも呼ばれたが、その由来はビッグウェイブでの大きなドロップによるホールドやスピードとハードターンにフォーカスしたデザイン。
もちろんそのような大きい波だけでなく、ごく日常的な波でも、つまりその後のDフィン的な働きと同様に普段使いにも何の問題もなく適応します。
ということは、この板を特別な大きい波にフォーカスして波乗りすることをターゲットにするのでもなければこの2つのフィン選択はどちらでも良いということです。
つまり上でお知らせした機能的な特性を元に選ぶも良し、フィンの形そのものの好みで選ぶも良し、です。
このデザイン、マリブ・チップは良いテイクオフ・ナチュラルなターン・ピュアでスピーディーなトリム(滑走と加速)、それこそがこの板の波乗り。
また、この板でサーフすれば誰もが知ることになる、そのようなサーフィンの純度と喜びがデザインされていて、それが何の不足も不満もないだけでなく本当に充実した波乗り。
この板のオーダーを考えているみなさん、フィン選択も開放して、どうぞお好みで。