PAVEL Double Rascal / ダブル・ラスカル 動画
2024.05.17

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先日紹介した、12'3" プロジェクト。プロトタイプの名をそのまま引き継いでモデル名は、ダブル・ラスカルで決まり。

リッチは昨年、コロナ禍の入国制限が明けて3年ぶりに日本に戻り、山王製作を再開しました。そのコロナ禍直前の2020年、私のリクエストとアイデアをデザインしてシェイプしてくれたのがダブル・ラスカルです。

ダブル・ラスカルの名前の由来は、ラスカルのテンプレートを重ねてアウトラインのカーブを創り出したことによります。
そのオリジナル作は、11'1"。
私の具体的なアイデアは、バックフット・チャイン、デュアルフィンの2点。

バックフット・チャインを思いついたのは、もちろんイージワイダーでも大成功してとても高く評価されるアンダーレールのチャインから。
そのチャインの働きはいくつもあって、ターン始動の反応の速さと軽さ、リフト量の大きさ、レールtoレールやレールの入りもリリースでも素早いレスポンス、ターン弧を回るスピードとターンの行き先に回り込む積極性、などなど。
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オリジナル・ダブル・ラスカルは11'1"、つまりビッグボード・カテゴリーです。
ビッグボードと言ったって、どんなサーフボードそうであるように長さ・サイズは単に値なだけで板の中身じゃない。

とは言え、一般的にはそれだけ大きい板になるといわゆるグライダー系が多いし、いずれにしてもそういう性格を持ち合わせるのは基本にはなります。
しかしながら私たちはそういうビッグボード・カテゴリーにも色々なキャラクターやサーフデザインを求めてきましたから、エムズの仲間やお客さんたちにもさまざまな要望やアイデアに応えた板を届けています。

例えば最近で言えば、エムズきってのビッグボード・ライダーYS氏のカスタムオーダーで昨年製作したファンタスティック・アシッドの11' VEE-BOTTOMなんかは同じビッグボードでも今までに私も見たことない板。
このサイズに超ディープなディスプレイスメント・ハルのターン感触と圧倒的なスピードを求めるというのは、それだけで大冒険旅行に等しい。

またVELZYクラシックラインの11&12フッター系などは、あくまでおおらかでどこまでも滑らかな滑りと乗り味そのものを楽しめる。

そしてこのダブルラスカルもそうであるように、このようなポイントノーズ系のデザインではグライダー要素はもちろん、大きなカーブのサーフェイスから掘れたハイラインでのホールド性を活かした豊富なラインとハイスピードで自由度が高い。
そんなわけでこのようなポイントノーズ系のアウトラインを持つビッグボードが以前よりもだんだんと見られるようになってきましたし、近年カリフォルニアではスキップフライに影響を受けたと思われるものがその主流になっています。

エムズは20年ほど前までスキップフライも日本の輸入元を務めていたこともあり、私自身もスキップのフィッシモンズやスイッシュなどのフィッシュ由来のデザインやイーグルなどを多く乗りました。
その他に同様のコンセプトのものではジム・フィリップスやボブ・ミッツベンなどなど。

これらの板はそのサイズやボリュームにかかわらず慣れれば想像以上にハンドリングボードでもありますが、私自身もたくさん体験してきた結果、もっとターンそのものの回転性の良さと速さと軽さを求めてリッチにリクエストしたのがダブルラスカルとして出来上がったわけです。

そのバックフット・チャインとボトムデザイン、そしてフィンセットアップの組み合わせによるこの板のデザイン、リッチならではの独創とデザインがまとめ上げたそれは今までの体験をガラッと書き換えてくれる板でした。

そこで私とリッチはこのダブルラスカルを、最大サイズで2本だけ製作することにしました。
このサイズともなるとブランクスの有無からグラスまで、一般的に想像されるよりも、と言うより製作以前のプランそのものが困難なのが実は現状。

さて、それらの事情やデザイン・シェイプの詳しい働きや感触など、この板の製作が進むにつれて紹介していきましょう。

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