また面白いリポートが届きました、トリスタン
2023.12.19

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ファンタスティック・アシッドのトリスタンはホントにいろんなリポートを届けてくれるので、その全てを紹介しきれないほどですが、私はもちろん皆さんにも興味深く読んでもらえるはずですし、できるだけお届けしています。

んで、今日は、FISH HULL x FLEX SPOONの話。
フレックス・スプーンはニーボードデザインの中で今もなお、最もプログレッシブなデザインとしてそのそのものが一つのカテゴリー。

トリスタンがアシッドのラインナップのこのモデル、フレックススプーンはごくわずかな作者によって製作されているのみですが、中でもトリスタンの作はこのモデルが持つ実用上のケアポイントなどを含めてとても高度にデザインされて、なおかつボード全体を通したクオリティの高さと合わせてベストな作。

トリスタンはディスプレイスメント・ハル専業ブランドのファンタスティック・アシッドのライナップの中にピュアハルはもちろん、展開系のデザインラインを発展させています。

そのラインにFISH HULLをリリースしたのは3年ほど前ですが、このモデルもまたどこを探しても見当たらないサーフデザインが仕込まれた個性でありながら完成されたモデルとしてファンを増やしています。

このFISH HULLの特徴的なパートである深く切り込まれた二つのスモール・ラウンドテールのアイデアを、フレックス・スプーンに取り入れたスタディをトライしたのはしばらく前。
フィンセットアップも、やはりもともとフィッシュハル用にデザインして素晴らしい結果を出しているツインフィン。
その時もすぐにリポートを寄せてくれて良い結果と、珍しく出てしまった根本的な問題点についても聞かせてくれました。

もちろん彼はその後も何度かテストを重ねただろうことはいつものことですが、たまたままた数日前にあちらの波が上がった時にさらにテストに引っ張り出した。

このアイデアの良い点、それはとにかくとても速い板だということなんですが、それ自体はそもそも彼の作るレギュラーのフレックススプーンのでっかい美点のひとつ。


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問題点、それはこのテール、レギュラーのフレックススプーンの元々のテールエンドよりもさらに後方に伸ばされた少し長いツーテール。
もちろんこのパートは積層グラスパネルですから浮力を持ちません。しかも通常のテールエンドから伸びていることで、たとえばハイラインや際どいターンなどでのテールのグリップが絶大。
この、絶大ってとこが問題で、場面によってターン時にテールがドラッグしてしまうくらいグリップが強い。

写真にあるようにサイズもある、しかもパワーのありそうな波のハイラインでの走りとホールドは何の問題も無く、いかにも良さそうなことが分かります。
一方でボトムターンに入ろうとする写真では、テールのドラッグによるいくらかのストールによってテールが沈み加減になりながらボトムから排出されるスプレーの重さ(塊の量と言いますかね)と不整感が伝わって見えます。

そう、このフレックススプーン・フィッシュハルテールの問題点は、その最も特徴的なテールそのものが積層グラスパネルであることによって浮力がほぼ無いという点から起きています。
こちら、
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このテスト結果は最初にテストした時から聞いているもので、今回も同じ結果を知らせてきていますが、今日のお題はね、そもそもの元になったモデル・FISH HULLでのテールの働きがよく分かる話。


ところが本家のフィッシュハルは、当たり前だけどそのテールに当たり前の浮力があることで、全くいい働きをするという例。
やはり送られてきたのはFISH HULLでのポールくんのサーフ。

動画をご覧いただく分かるようにこの板の特長のいくつかがよく見えています。
こちら、
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おそらくモダンショートボードで波乗りを積み上げたと思われるサーファーでも違和感なく扱い方にフィットするところ、それでいてハルのペネトレーションの速さと伸びがいろいろな動きの中に表れています。
軽いグラブを伴ったカットバックは、波のサイズはそんなに無いのに上で軽く回り切ってそのままハイラインを長く戻るという、いかにも操作は力が抜けているのにスムースに速いなんてところは分かりやすいです。

いいんです、FISH HULL