サンディングが終了してグロスコート待ち。
山王グラッシングで巻くどんな板もそうだけど、出来上がるとサーフボードとしてソリッドな姿ですが、シェイプされたフォームがグラッシングされる過程では本当にいくつもの追加的処理がなされます。
このファンタスティック・アシッド・スプーンもこの板ならではの作業が隠れています。
馬蹄形ともいうようなフォームのパートを繋ぐような形にもなるグラスファイバーのフレックスパネルは、その名の通り縦横にフレックスする動的機能性そのものがこの板の波乗りの決定的な要素。
ということは柔軟な動性を創出しつつ、パートによってはさらに強度のサポートが必要になります。
そのサポートのためのプロセスにも機能的なデザインを伴う作業が施されるのです。そこはさすがのトリスタンも、"この作業の写真は秘密にしておいてね"って言ったので説明はここまでですが、よく出来たいい板はシェイプはもちろんグラッシングのクオリティもデザイン的向上進化を繰り返すものです。
アシッドの来日製作、グラスワークの後半を預かる名匠・健ちゃんもそういうエクストラケアのバトンを引き継いで毎日奮闘しているんです。
トリスタンは素晴らしい才能と特質を持ったシェイパー・ビルダー、で、その彼も"健次からは学ぶことだらけ!"と言うんですよ。
現在、海の中やビーチ周辺では定型生産されたボードをたくさん見かけるようになりました。それはなにも少し以前までのモールド製作やそれに類するものばかりではなく、コンベンショナルなつまりシェイプ&グラスによって生産されるものにも大量生産的な定型生産指向が現れています。
それらに共通するのは、基本的に同じデザイン技法をいろいろなサイズのいろいろな形の板に流用するデザイン性と、同じようにマテリアルについても集中的に共通するものをケースによってはインダストリー全体で共有するような指向によって生産性・収益性にフォーカスされます。
そこにはカスタム性はありません。つまり違う色やサイズや形の板を選んでもユニフォームです。
それはもちろんボードのデザインだけでなく、作り出される過程の全てが違う原理。
多様性が議論される今だから、作るものも求めるものも色々でよし。
一方、ユニフォームの収益性の原資はカスタムの世界からピックされていることには注意したいですな。
おっと、話がそれてややバックドアだったかしら。だけど、裏は明るく広い方がいいからね。