ファンタスティック・アシッドは来年５月の来日製作のカスタムオーダー受付を開始しました。さっそくいろいろなモデルについてのお問合せやご質問、オーダーをいただき始めました。
それに合わせて今日からは何度かに分けて各モデルごとに取り上げたポストをしてみましょう。もちろん、さらにみなさん個々のご質問はいつでも歓迎です。お電話・メール・ご来店、ご都合の良い方法でどうぞ。

PMH / プログレッシブ・モダン・ハルというストレートな命名はまったくその通り、この板にぴったりです。
なのですが、一方でこのモデル名のそのカタカナの響きはなぜか、ちょっと過激な攻め感だったり、ショートボード的なマニューバー向けのようであったり、みたいなキャラクターに寄せたデザイン・シェイプといったニュアンスに受け止められるケースが、意外ですがあるようです。

もちろん、この板はそういったキャラクターも持ち合わせています。で、それらはこの板の一部に過ぎません。
この板、ディスプレイスメント・ハルとしてのもっと広い守備範囲をカバーする、そのことを表した進歩したハルの代表的なサーフデザインだから、この名前。
ですからハルヘッズがハルに求める大基本の絶対的フィーリングは、アシッドの血筋通り濃厚なまま。むしろその感触は濃い目ですらあります。

そしてマニューバー性の高さという部分は、モダン・マニューバーに覚えのあるサーファーがそのフィジカルなメモリーによってこの板を操作できる、と説明できます。
素晴らしいのは、ここでもハルをいっさい失っていないところ。ここを売り渡してしまうと、ハル"みたいな"板、になっちゃう。

PMHはハルにとっては相反するとも言えるようなこのふたつのサーフィン要素を、妥協無しにどのようにしてデザインを完成させたか？
答えはアシッドハルに共通する、ボトムのディープなベリーとパネルのブレンド配置の最適化で到達したというポイントです。
もちろんそれは、デッキ・ボトムの各ロッカーとフォイルと相互に調和していることが欠かせません。
ひとつ、エンスー的ひねりの効いた仕業は、安易にパネルをコンケーブに置き換えていないところ（もちろん、ハルにコンケーブがコンボされることがいけないわけもなく、実際アシッドの中にもパートによってコンケーブを用いるものもあります）。
レールフォイルも妥協の無いデザインで、ただしほんのテールエリアだけにはレールのピーク形状が変えられて、なおかつそのエリアにはクリスピーなエッジが与えられます。
"え、ほんのこれだけのエリアなのに？"、と思うくらいのちょっとしたエリアですが、ここがボトムのブレンドの妙を仕上げています。

ファンタスティック・アシッドにはトラディショナルなディスプレイスメント・ハルの骨格コントラストを強調して磨き上げたラインと、そのトラディションを基にしてそれぞれが独自の特性を持つ変化系のラインがあります。
PMHはその変化系の１モデルですが、最初で説明したように尖ったサーフデザインなのではなくトラディションのセンターラインに今日的な正常進化を与えた、つまりその進化が好みを超えた説得力のあるサーフデザインです。



カスタムオーダーを考えるときに参考にしていただけるケースも紹介しましょうね。

ここで紹介している写真のひとつ、デーン・グダスカス君がピックアップに来た２本はどちらもPMH・シングルフィン（PMH、サイドバイト付きとシングルが選べます）。
彼がどんなサーファーなのかはこれを読んでくれている皆さんの方がご存知かもしれないし、知らなくてもSNSをほじくれば簡単に知ることができますね。
２本のうち１本はアレックス・ロペス君の分。代表して取りにきた、と。アレックスも、ロペスの名でお分かりでしょう。
この写真、つい先日カリフォルニアからハワイに向かったUSツアー中のトリスタンの元にオーダーが届いて現地で製作した２本のPMHを引き取りに来た時のもの。

トリスタン、パンデミックの少し前に訪れたカリフォルニアでのカスタム製作で現地のハルヘッズの多くを虜にしました。
今回のツアーでもハルヘッズだけでなく、この写真の彼らのようにスーパー・ハイパフォーマーのデーンやシェイパーとしてキャリアを上げつつあるアレックスなどの若い玄人たちもトリスタンの板をパーソナルなクイーバーとしてカスタムオーダーを寄せました。
２人がPMHを求めたのは、まずは当然のチョイス。

ハルのオリジンの地カリフォルニアのサーファーにとっても、トリスタンの大胆なコントラストを持つデザイン・シェイプとライディングフィールこそは、意外なことにローカルデザインをコンサバなものに感じさせるほどファンタスティックなアシッド、ということか。

もうひとつ、和風に立つ１本は私の7'4"。
PMHはサーフデザインの立ち位置からも、例えば明らかに長めのレンジはコンセプトとプラットフォームの外になることはお知らせしておかなければいけませんが、それでも私のリクエストしたこの長さとボリュームには余裕で応えてくれました。

PMH、こんな感じの板です。
お問合せ・ご質問・カスタムオーダー、お待ちしています。