ロッカーとボトムデザインの話、エイシン・スコーカー
2022.10.31

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この板、先日上がったストックの、EISHIN, 7'6" Squawker / スコーカー・5プラグです。

この板、"ザ・ミッドレングス"ですよ、ってなお話をすることが多いのですが、つまり色々な意味でミッドレングスのど真ん中に位置するようなデザイン性・機能性というニュアンスです。

面白い事にこのような、言わばど真ん中系の板は割りとどれも似通ったデザイン性のものが多く、それはど真ん中ゆえと思われてしまってはそんなことは無くって、しかもSO SOじゃ嫌だ。
悪くないよ、はそのちょい上の、まあまあいいよ、と比べてもけっこう違います。
つまり例えばそれは、テイクオフ早くて楽なわりに動くじゃん、どまりなもので、それならファンボード(って、たくさんの人たちが呼んでた板ってことね)から進歩ないぞ、と。

ど真ん中だからって、どっちでもいいよ、みたいなんじゃなくてサーフデザインと味があって欲しい。

スコーカーの話、しなくちゃね。
今日はこの板のロッカーとボトムデザインの協調を説明する事にしてたんでした。

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ロッカー3段写真見てください。
ノーズのもろにチップだけはピコッと上げたあとはノーズからエントリーまでのロッカーはひとつながり(実際にはカーブ変化しますよ、そりゃ)のように穏やかなロッカー量です。
センターロッカーはそのままそれを引き取るようにナチュラルで十分エリアのプレーニングロッカーの体。
さらにこのようなマルチフィンボードには少し珍しめにテールロッカーの領域がセンターを早めに迎えに行く感じ、に見えるのはこの板のボトムを支配するVEEによる、ちょっと見のトリックとも言えます。

そうです、たぶんアウトラインから想像するよりも全体に抑制されたロッカー量に見えるのは、その通りです。

一般的にこのようなノーズ形状を持つ板では、いわゆるノーズロッカーがもうちょい与えられていることが多く、エントリーロッカーとの境にあたるエリアには(間違うと危険な)カーブの角が(あくまでもカーブを保って)現れがちですが、そこはこのような板にも持ち込まれるボトムデザインのルーティンとしてノーズやエントリーから始まるシングルコンケーブのリフトと低圧によるそのパートの水の流速に期待する。
そしてボード後半ではいずれにしてもダブルコンケーブへと変異することが多いです。

もちろんこのようなレイアウトは、良くできていれば、安定した働きを得られますからどんなレベルの板にでも普及することになったわけです。
これはもう21世紀のコンケーブ御利益の世界的普及でして、良いデザイン&シェイプのものではステージをプッシュしますし、そうじゃないものにも万難隠すというありがたいデバイスでもあります。余談ですね。

もちろんこのような狙いのカテゴリーの板にコンケーブではつまらないという話じゃありませんし、むしろそれが良いデザイン・シェイプであればとても満足度の高い働きをします。

スコーカーのデザイン的な狙いは、別なやり方による広い場面での速さ・早さ、そしてそれをさらに滑らかに軽やかな操作性への進化です。
それを求めて選択したのが、VEEをベースにしたボトムデザインです。

エムズに登場する板の中にはVEEを見事に採用したのもは少なくありませんが、パートにコンボして用いるデザイン・シェイプにまで広げれば、実はたくさんあります。
ですから今日の話は、コンケーブ対VEE、では無いし、どっちがいいの話でもありません。

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実はスコーカー、ノーズからテールエンドまでVEEが貫かれているのですが、もちろんそれはパートによってVの強弱が大胆に変化します。
VEEはノーズは控えめに始まり、エントリーからセンターではやや強められるのですが、ここで先にお話しした抑えられたロッカーとの組み合わせが効果を発揮します。
抑えられたロッカーは同じ長さの板同士で比較するとすれば、より長い節水エリア、プレーニング・サーフェイスを持つことになり、それはそのまま滑走性の高さに直結します。
さらに滑走上の実際の節水が始まるエントリーにはすでにVEEを持つことで、水を押しながら水に切り込む事になりますが、それが例えばテイクオフではボードが前部から積極的にドロップする指向になります。
しかもすでに説明したようにプレーニング・サーフェイスが長いので、ボード前部が作った早いドロップをサーファーの荷重エリアの滑走性の高さは連続して、そのまま速さ・板の走りに変えます。
平水のパドリング時には控えめなエントリーロッカーによってロッカー軸(縦方向)上のカーブの角が無いので、進行方向には水を切るけれどそのエリアのボトムの面は水を後方に流しやすい作りになっています。

それだけだと実際の長さ以上に長い板の回転性を想像するとしたら、そうじゃないのがこのデザインの狙い。
サーファーがターンのための体重移動、つまり用意を始めると体重の軸は後方に移動するので、今度は今まで加重されていたプレーニングエリアから加重が減りながら両足の間の後方寄りに加重中心が移っていきます。

そこで今度は最初の方で話した、ストリンガーラインのロッカーに対してVEEが作るレールラインのロッカーがボードセンター寄りに早くから始まる、プログレッシブなラインと面の変位構成によって積極的に、そしてなめらかで速い反応でターンが始まります。
この速さを作るデザイン手法は他にもいくつかありますが、スコーカーのVEEはその速さはカチッとした感じの反応とは違って、速くて滑らかなのが特色なのです。

スコーカーでは、このようにして立ち上がりの早い走り(板が前に出ていく場面ですね)と、反応が良く流れる滑らかさのターン(回転動作・操作)との両面が綺麗に繋がるというサーフデザインなのです。

もうね、こうやって言葉や文字で説明するともどかしいのですが、なんとなくサーフィンしている気分で流れの雰囲気をイメージしてもらえれば、というための分解説明にトライしてみました。

ちなみにスコーカーのこのやり方は、実はツインチンも同じ方向性をある程度共有しています。

波乗りするクイーバーのサイズレンジが広いサーファーには特にお勧めするモデルです。


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