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エリス・エリクソンのエッジボード、私もやっと何度か試すことができました。
10月の終わりから11月の初めにかけて、アンドリュー・キッドマンと一緒に彼らの新作ムービー、On The Edge Of A Dreamをひっさげて日本の数カ所を上映ツアーしたのをご存知の方もいるでしょう。
エッジボードは数年前、オリジネーターであるジョージ・グリノーさんの協力を得てカリフォルニアではアンドリーニさんを通して数人のシェイパーに伝わり、オーストラリアではエリスが磨いてきました。
エムズではマンダラのエッジボードが皆さんに評価されてお馴染みですが、ここで紹介するエリスのエッジボード、エムズではディーラーさんとしてお付き合いのあるライドさんが日本の輸入元を務めることになり、私もまずは1本お願いしてみたわけです。
エッジボード、あのインパクトのある見た目で、登場直後にはたくさんのシェイパーがSNSなどに投稿される写真を見て、見よう見まねでシェイプにチャレンジしました。
突然あちこちにたくさんのエッジボード・フォロワーが出現したのを覚えている方も多いでしょう。
ところが昨年あたりにはそのムーブメントが急速に収まり、今度は逆にあまりエッジボードを見かけなくなりました。
これ、つまり多くのフォロワーたちのエッジボードがそれほど評価されなかったことを示しています。
ちょっと面白い理由があって、私はマンダラのマニー・カロを通じてプロジェクトが立ち上がる前に知らされていたのですが、グリノーさんが伝授したエッジボードの成否の根拠、つまり普通よりも厳密な法則・フォーミュラがあると言うのです。
どんなサーフボードも、それがよく出来ているものであれば、それはたくさんの正解の集合です。
本当に良いサーフボードほど、そのデザインとシェイプの中にたくさんの正解を含んでいるのです。
その正解が少なくても、例えばそのデザインの特徴的な要素に見えるところを持たせれば、何となくの特性がいくらかは現れるものです。
ところが、その正解の中でも需要な要素が調和されていなければサーフィンのどこかに違和感が起きたり、明快な良いフィーリングをサーファーに与えることができません。大化けや爆発もない。
エッジボードの場合はそれがあらかじめグリノーさん発のフォーミュラには含まれていたということです。
さてそんなわけで、たくさんのエッジボード作者の中にあって、ごく幾人かがそのフォーミュラをよく理解し、磨いていたんですね。
一旦起きたムーブメントが収束後し、その幾人かが目立たないことでエッジボードそのものが盛り上がらなかったように見えたかもしれません。
その幾人かの中でも特に、グリノーさんとの協業を進めながらエッジデザインの応用幅とその調和をトライし続けているのが、エリス・エリクソンです。
自らも高度な、そして若いオージー・サーファーですから、基本はパフォーマンス・サーフィンが出自。そのデザイン・イメージはポスト・ショートボードと私は見受けました。
で、私の1本、6'11"です。
ショートボード系のシェイパーさんたちには馴染みのロッカー計測です。ほぼ、7'。
やっと3度ほど試すことができた結果、やはりとてもいいです、この板。
波のキャッチがとても良いのですがポジションがちゃんとあるので、そこをメモリーすることができればゾーンです。
よくできたエッジボードの当たり前で、とても速いのは約束事で、さらに狭目のエッジエリアは波に乗ると、ずっと細身の鋭いサーフボード同様のレスポンスで操作できます。
ここ肝心で、テイクオフしちゃってますから、コンケーブで構成されるエッジエリアが細身のサーフボードとして働いても浮力を失うわけでもなし、そしてもちろん少ない抵抗での軽く素早い反応というわけです。
これはよくできたエッジに共通する美点です。
そして、とても刺さりにくい。これもよくできたエッジの共通項ですが、エリスのは特に優れていると感じます。
同じくこれも特長ですが、割れぎわを強引に真横にテイクオフしてやっても、板が落っこちずにハイラインのまま速い初速で簡単にテイクオフします。
ここまでの波乗りでは、作者お勧めのパワーブレードフィンを位置を変えて試してみましたが、次はカリフォルニア系のルーティーン、GGスピードフィンとのフィットを試すつもりです。
パワーブレード、特にこの板にセットした柔らかめのツイストも、このフィンの性格の一つである柔らかな波でのピボットな操作の自由度は嬉しい。
その一方、縦フレックスは相対的にも硬めなので、フィン位置との兼ね合いからも寝せる方向にはやや堅め。
ムービー内でも話されているように、これはパワーブレードのチューニングが、パワフルなコンディションへの対応を求めたことから始まったことからも納得できます。
私の地元は速いビーチブレイクで、日本のアベレージ同様にパワーも大きくないですから、もっと動きの融通を優先した組み合わせを求めてみるつもり。
エリクソン・エッジボード、エムズでも取り扱いいたします。
ぜひご相談ください。
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