


この新聞はファンタスティック・アシッドのトリスタン・モースがすべての記事を書いて毎月(今のところは)発行している、約12ページのいわばファンタスティック・アシッド新聞です。
タイトルは、Du Surf Situationniste / Fantastic Acid monthly review
Situationniste (Situationist・英) / シチュエイショニスト(シチュアシオニスト)についてはそれこそ検索していただくと解説されているのでそちらをご覧いただきたいの。
彼がこのワードをタイトルに迎えたのは彼がファンタスティック・アシッドをもって表現したり発信したりしている具体的な方法の一つにSNS(主にインスタですが)がありますが、2年ほど前からそのポストの数を控えめにしていることをお気づきのみなさんもいると思います。
単にその代わりというわけではなく、むしろ発信方法として心地よくまた彼の想いに合っているのが、この紙・新聞を自主制作して有料購読者に届けるということを今年初めからスタートしました。
彼の思想・態度に元々のSituationnisteの活動を重ねて、サーフィンとサーフボードのシーン状況から自身とファンタスティック・アシッドを解放して独自の存在であろうとする彼の選んだ方法です。
そのことそのものがタイトルと呼応しているのであって、このワードに関連してよく見られる前衛やアナーキーというイメージに単純にくくられるものではありません。
この新聞は同じ内容がフランス語と英語の両方で書かれていて、全ての記事と写真の選択・レイアウトまで彼自身が行い制作されます。
実は以前にそのアイデアを彼から聞かされた時に私は、"もちろん大賛成、俺もそれをやりたいくらいだぞ"って返事しました。
つまり確かに便利なSNSプラットフォームを用いて発信するという手段から完全に脱出するのは困難でも、そういったものすごく広い世間と共有するプラットフォームに縛られず、かつ単にその一部に絡め取られずに自身のありようを潔く表すことを、たとえ伝えられる相手が少なくてもしなきゃならんし、したいんだ、と。
私とエムズも参加させていただいているSNSよりもむしろこのサイトでこそ、深掘りしていることやよりディープな話をお届けしているのは同じ理由によります。
しかもとても個人的には、ノーコマーシャル前提で紙、新聞形式こそ頂点。憧れですらあります。
そういうものこそ有料でも求められると思っているんです。
トリスタンからは日本語での特別イシューを作らないかい、と提案されてもいます。
そちらはまた実現する時にあらためてお伝えしますね。
ついでにひとつ、お目にかける写真。シェイプ中の1葉。
これはファッションについての話でないことは言うまでもありません。
この写真でトリスタンが着ているのは、いくつかの道具やたくさんのテンプレートと共にエムズに置いていっている作業着のひとつ。
それそのものは私、見慣れているのだがこの日は今回日本に着いた時に履いていた靴。私が、"おいおい、靴履きかえなくていいの?"、って聞くと、"これに入れてるインソールはシェイプの時にも調子いいのよ"、と。
"レジンの時はレジン用の靴履くよ"、って。
着ている服にしても靴にしても、まあ見かけない彼の体裁はある種ファッション的に混ぜ込んだステートメント性を帯びたものでは100%無くて、心地よいものを選んでいるだけ。
私のようなファッション業界の外の者が言うのもなんだが、特にフランスのファッション界における飛び抜けた存在性は、もちろんそれであろうと理解しているけれど、一方でよく聞かれるようなフランス人が他人や流行りに振り回されない着こなしうんぬん。
あれ、つまりそういうオリジナリティそのものが主張であることもあろうし、トリちゃんみたいなステートメントのはるか以前まであるんでしょうね。
"なにそれ、かっこいいじゃん"、なんていっちゃう私は、この話を言っておきながら抜け出てねえなあ。
