OZ, 8'1" Rabbit L
2025.01.07

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オズのラビット、この1本はいくつかのトライアルを兼ねていて長さだけでなくあえて大ぶりな各部のデザインにしたので、L このモデルそのものはオズの代表的なシングルフィン・デザイン、時代性を超えて広くコンテンポラリーな全方位に満足度の高い板。

あえて、L、の理由はこのモデルの機動性を損なわずにどこまでラージに行けるかギリギリを探ろうというもの。
というのもこのモデル、上でも書いてように時代性に絡め取られていないコンセプトとはいえとてもいい動きの、分かりやすく言えば"動く板"なんですね。
シングルフィンですからほっといてもちょろちょろ動くという類いではもちろん無くて、動きの速さも量も操作に対するズレが一切ない。

ご存知の方の多いと思うけどオズは笑らの山王ファクトリーの親方、高橋健次のサーフボード・ブランドであり、いつもお伝えしている通りケンジの真骨頂であり方針は、彼の削るサーフボードは限界まで追い込んだ正しいカーブと面が全てに優先する。
これをもって私はケンジのそのシェイプ流儀を、カーブ至上主義と呼ぶね。大袈裟に言えば、ね。

以上のことから分かるように、オズの板にはシェイパーとしての表現を望むのではなく、ベストで間違いの無い働きを求めるのである。そうです、ケンジのシェイプ哲学は追い込んだ欠点の排除。
そう言うとスクエアな感じがするかもしれないけれどぜんぜんそんな事ない。それ自体が味になっている。

で、この板、年末にエムズのクルーS君から戻ってきたんだけど、つまりこの板のトライアルの色々なポイントについて何人かで回して意見や結果をできるだけ集めたいから彼S君の元でしばらく乗ってもらっていたワケ。
彼は物腰柔らかでおとなしくて優しい雰囲気でいて、波乗りすればとてもいいサーファー。
だからこういった事を委ねるのにも最高のサーファーの一人。

S君は小さめの体格だが小さい板はもちろん、デカいロングボードクラスまでを見事に乗りこなす奴。
だとしてもこのラビットというモデルとしてはかなりラージなこの1本は、板のキャラクターとのフィッティングで言えば明らかにデカくてつまりスーパーチャンク。

しかし、さすがS、しばらく預けた間に中身のあるリポートをいくつも聞かせてくれました。
まずは当然ながら(単にボリュームあるからじゃなくて、板の基礎機能の高さにプラスだから)パドルもテイクオフもフルサイズ系のベスト。
彼はとあるビーチのすぐそばに住まう、そしてそこは普通に言えばあんまり混む事がなくて、しかもいい時はかなりクオリティの高い波というなかなかズルい環境だから、この板をキープしている間には結構いい波から小さくて味のないテイクオフさせられる波まで色々なコンディションで試した。

そのリポートでは動きの良さは上で書いた通りの板とサーファー直結のそれで、ちょっといい波での走りと速さは"いい板 x 2"とでも言うもので、しかも迷いなく波の一番速いところに板を運べる。
このボリュームを表すレールの大きさも、触れば大きいけれど全体のボリュームを含めて邪魔なものは一切無し。

ただ一つ小さくてファーストブレイクにシェイプの無い波(一番つまらないやつね)では、どっちにしても割れる滑り出しを合わせるタイミングの狭いそこには、逆に長さもボリュームもむしろ要らない。
だってそういう波ってふた漕ぎ三漕ぎでピッて合わせて引っ掛けて滑り出させるから、漕ぎ出しの一瞬を少し重くする長さやボリュームは合わん。
でからこのポイントは別に板の欠点にはならないのでスルー。

このテールエリアのロッカー見てもらって分かりにくいかもしれないけど、テールのアウトラインのカーブとコンケーブと3点のロッカーの組み合わせはこの板の動きの良さと最後の速さのポイントです。
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ちなみにこの板、デザイン・シェイプだけでなくもう一つのチェックポイントがあって、日本製の新しいサーフボード用ファイバーグラスで巻きました。
完成度はワールドクラスに達していて、しばらく前からメーカーの担当者さんもインスタで精力的に発信しているから見た事がある方も多いでしょう。
エムズと山王ファクトリーとしてもチェックは欠かせないことと、我々は製作する板それぞれにケースによって色々なコンビネーションでファイバーグラスを選ぶのでそのスタッフに加える可能性も含めて真っ当な製品レベルでのリアルなテストをしなくちゃいけない。

で、我々としてはそのスタディの一つとしてこのラビットをまずは巻きました。
織りのタイプや糸構成などのテクニカルで専門的な話は省くけど、ウェイトはデッキが6オンス2層・ボトムが6オンス1層という、このようなデザインの板としては最も標準的なコンボ。
フィニッシュはウェットサンドグロス。

ブランクスは当然のようにUS BLANKSの84SPX / GREENというこちらもナチュラルな選択。
ちなみにもう一つ軽い番手のBLUEとも思いましたがここではGREENにしておくことで、たとえばロングボードクラスでの標準的なブランクス番手とファイバー番手のシミュレーションnにもなるよね、と。

実はS君に預ける前に私も1度だけ乗りましたが、何というほどのない波でもやっぱり板の基本の高さはしっかり感じていた。
もちろんファイバーグラスの持つキャラクターの、例えば固めとか、しなやかめとか、強い・弱いなどの要素を確認しなきゃいけない。

S君から戻ってきて次のテストクルーに渡すので、めんどくさいからデッキのワックスはそのままなんだが、その状態で見た限りではS君が何セッションかしっかり波乗りしていても足跡は深いものは見当たらなそう。
ばかりか、けっこう足跡少ないかもしれん、といったふうに見える。

もしかして固めに巻き上がるファイバーかもしれないね、ということかもしれないが、その固さ感は剛性に行ってるかもしれないし"打ち&押し強度やしなやかさ"なんかももっと探っていきます。

さてこの板、次は別のテストクルーに預けてまたテストの旅に出ます。
それまではショップにありますので、よかったら見物がてら店においでくださいな。

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そして次にはPAVEL FISHを別な織りの別な番手で巻いた板がテストに出動します。