南の島、沖縄からのリポート 板は、PAVEL, 8'2" Easy Widerです。
だんだんお付き合いが長くなってきた沖縄のサーファー・Hさん。
地元のショップさんを通じて板はお届けしていますが、PAVELボードゆえにレベルの高い対応を求めるHさんの場合は、リクエストやシェイプとデザインの技術的なオーダーの内容は電話とメールを繰り返して直接ご相談対応させてもらっています。
すでにHさんはご夫婦でPAVELボードを何本も楽しんでいただいていて、今日のこのモデル・イージーワイダーもリピートの1本。
で、今回のリクエストの特徴はサイズやパワーのある波や、テイクオフやライン選択のタイトな波やセクションでのイージーでシュアな操作性と波乗りを"このモデルで"、というもの。
すでにHさんは何本かのイージーワイダーで地元の色々な波をサーフしていて、モデル名の通りのイージーなキャラクターとスピードを生かして早いタイミングのテイクオフからキツいセクションをトバシたラインどりの波乗りを発揮するパターンはマスター済み。
そうなると波乗りイメージは展開するもので、そのトバシていたセクションやスティープなテイクオフがイージーにメイクできるなら、これは美味しい、と。
沖縄は波に恵まれたエリアである一方で、タイドの状況によって波乗りの可否そのものが左右されるブレイクも多く、タイトなテイクオフはボコッと掘れるから上手く引っ掛けて板も初速が大事で、最初の速いセクションを抜けるとタルッとなってすぐ戻す、というようなブレイクも少なくありません。
そこのところをサポートするデザイン・シェイプをお願い、というのが今回の8'2" Easy Widerのリクエスト。
当初Hさんはノーズを細めにして・・・〜、をカスタム・ポイントのスタートにしてというアイデアを聞かせてくれましたが、そのアイデアが可能かどうかは別としても、よく出来たデザイン/モデルほど長さと幅の関連から導き出されるアウトラインの完成度を崩してしまうどこかのパートだけの"いじり"が板そのものを残念なものにしてしまう事は当たり前です。
もちろんリッチ・パベルはそういうレベルのデザイン/板を作るシェイパー・デザイナーですから、そこのジャッジは厳しく、また間違えません。
もちろん私は今回もHさんから色々な聞き取りをして、さらに彼とはもともと彼自身の感じ方と好みと波の関係を詳しく話してくれているリレーションを重ねているので、それらを合わせてリッチにそのリクエストがHさんにとってどういう事なのかを詳しく話してオーダーシートの詳細が出来上がるのは、全てのPAVELボードのカスタムオーダーに共通のワークですよ。
で、結果、今回の板ではノーズ幅うんぬんではなく板全体に与えるボリュームとレールデザインの関係、それはレールを単に板の両脇にくっ付けるパートという見方ではもちろんなくて、デッキのクラウンからのフォイルと合わせてボトムデザインとのフォイルのつながりラインをカスタムして作り出しました。
当然それはロッカーと同次元でデザインされています。
そんなこの板はデリバリーしてからしばらく経っていたのですが、つい先日ショップに電話があってリポートを聞かせてくれました。
その最初の一言は、"望んだ通り、もう完璧です!"、と。"この感動はメールじゃなくて直接電話で話さなきゃと思って"、とも言っていました。
そこそこサイズのある波で、求めた要素が全て最高、という話でこれは次にリッチと電話で話すときに伝えておきますよ。
少し前の電話の時にリッチは、今年作った板で一番ストークしてたのは誰だい?、なんてことを私に訊いてきて、その時も何人かの熱いリポートの話をしたけどその時はまだHさんの電話の前だったからね。
ちなみにこの板、しばらく前にここで紹介したと思ったけど、カラーコンボはこれも以前に山王で製作した板の写し。
で、ちょっとしたトリックは、どこから見ても3ストリンガーに見えるこの板のダークカラーのオフセット2本はエアブラシです。
こういう手法は遠目にはどれもストリンガーに見えるものだけど、山王の仕事です、バッチリ顔を近づけて見ても言われなきゃストリンガーにしか見えませんよ。
現在は粗末なモールドボードなどに書き入れもののストリンガーやら3ストリンガーなどを見かけますが、サーフボード的にはチープなハートは御免ですのでこのようなレジンティントにも耐える雰囲気作りならサム・コディさんへのトリビュートになるので喜んでお引き受けしました。
さてHさん、この板はあえてシングルフィンを求めたので今は波とフィンとのコンボ・パターンで迷いを楽しんでいる様子。
ぜひお電話くださいな。