トリスタン、VELZY Hot Curlで波乗り・ショートムービー
2024.07.22

240626_HC_1.jpgHOTCURL_1.MOV

今年の来日製作滞在中を通して製作スケジュールがパツンパツンということもあったけれど、波もほとんどなかったこともあって波乗りできなかったのは残念。

それでも6月後半のある日、28日に控えたエキシビションの前になんとか乗ってみたいな、と言っていた2本のVELZYに乗ってみたトリスタン。

1本は、VELZY 10'6" BALSA CHIP もう1本は、VELZY 9'6" HOT CURL ホットカールの方はあえてウレタンでデイルさんに削ってもらったもので、流石に所有する本物のレッドウッドの方でサーフするのはいくら私でもはばかられるから体験用にある意味シミュレーターとして。なんでも乗るだけ乗ってみる私でもバルサまで。

でもトリスタンにはいつも、乗ってみたい板はなんでも乗っていいからね、と言ってあるので彼は前からこの2本にまず乗ってみたいと言っていたのでした。

28日のエキシビションにはいくつかのテーマが複合して表現されてIいて、その日アドリフトに来てくれたみなさんの中にはお気づきの方もいると思うけど、サーフボードのデザイン変遷を知り体験することはトリスタン自身サーファーにとってデザイナー・シェイパーにとって欠かせない。
だけでなく、それはすべてのサーファーに。

こういうものでも波乗りして、ディテールを含むそのデザインがどう機能するのかをチェックしてメモリーすることで自信がデザイン・シェイプする板たちにすべてフィードバックするんだと言います。
だからこそ彼がディスプレイスメント・ハル専業のファンタスティック・アシッドという特化した世界観の中に、あれほど色々な、それもそれぞれがホントに特徴のあるサーフデザインが揃ってくる理由ということが分かります。
だから彼の板に乗るサーファーを驚かせたりもするし、閃かせたりするんだと思います。

基本的に同じデザイン要素を、長さ変えたり、ロッカー上げたり下げたり、縦横に引っ張ってみたり詰めてみたり、厚さ変えたり、フィンプラグを増やしたり、そういうことじゃないですね、サーフボードデザインは。

そんなトリスタンはチャンスあるごとにすでに色々な実体験を重ねているけれど、エキシビションやトークセッションに向けて自分自身により刺激を受けておきたい、と。


HOTCURL_2.mov
HOTCURL_3.mov

今日のこのポストではまずはホットカール編動画。

さすがのトリスタンもホットカールは初めてだったものの、見ているとすぐにコンタクトしていた。
波はご覧の通りまあひどいもので、風波の弱々しくてだらしなくあちこちで潰れてしまうアレ。

それでもデザイン・シェイプがどのように機能するのかをすぐに体でキャッチしています。
こうして説明しなければひどい波に乗っているだけにしか見えないかもしれないけれど、どうやって最初のターンをするのか、どうトリムするのか、板前半のボトムとレールが働いてペネトレーションする様子、そう言ったことが見てとれます。

ホットカールというデザイン、1930年代にハワイで生まれた、ということはもうすぐ百年近いわけですが、サーフボード最初の機能的デザインと言える。
細く絞られたテールのボトムは深いV形状で断面は三角形、フィンはもちろん持たず、その細いテールとボトム形状そのものがその後発想されることになるフィン的な役割を担う。
担う、とは言ってもフィンに頼っている現代のサーファーが乗ると最初はあっけなくテールはスピンアウトする。

トリスタンが何気なくやっているように扱わないとターンしない、テールとその形状をアンカーとして利用する。
じゃないと、つまり、ズルっと回って終わる。
そもそもテイクオフそのものが難しいんだが、トリスタンのテイクオフをよく見てみると分かるけど、テールを押さえるようにしてるでしょ。
さらにその後、波の僅かなサーフェイスにレールをセットして走らせるわけだが、そのレールは普通皆さんが想像するようなものとは全く違っていていわば100%アップレール。

ボトムはそのテールエリアに至るまでは深いベリー!、が続く。
つまりその滑走メカニズムは、デカくて深いベリーが水を押し除けて刺さり続けて、それをリッジ状のレールが水にグラブされることでダウンザラインを走る、三角形の細いテールがドラッグを作りバランスするという仕組み。

おいおい、これって、ディスプレイスメント・ハルじゃねえか!

この板、エムズにいらした人は目に入るラックにあるんだけど。
今度来た時によ〜く見てみてくださいね。

240626_HC_2.jpg