ZINGER とは?
2022.09.19

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エムズではお馴染み、20数年前からユーザーを魅了し続けているZINGER / ジンガー、あらためて説明しましょう。

ジンガーは故マイク・イートンさんが生み出したデザインです。
イートンさんは60年代から当時のBINGのトップシェイパーとしても活躍、70年代にはキャンベル兄弟が持ち込んだボンザー・コンセプトのデザインを整えてシーンに送り出しボンザー躍進の原動力としての役割を担いました。

その後、ボンザーデザインは時代による流行り・廃りに飲み込まれることなく、キャンベル兄弟はショートボード・デザインの移り変わりに対応・適応する形で発展し、イートンさんはオリジナルデザインを磨き込む指向で今で言うオルタナティブからミッド&ロングボード・レンジでの発展という形で、分かりやすく言えばタイプの違う2つの家系がボンザー・コンセプトを支え続けたわけです。

その一方のイートンさんによるボンザーの変化系デザインがジンガーで、イートン・サーフボードの日本での輸入元であった私にイートンさんが教えてくれた言葉、"ジンガーはツインフィン・ボンザーだよ"。
ボンザーはもともとシングルフィン・デザインの機能性拡張というコンセプトに由来するのに対して、センターフィンを左右2本に分割したボンザーがジンガー、という発想。

フィン周りの写真を見て内側の立った形のフィンがメインフィンであるツインフィン、外側のキール状のフィンがボンザーにも共通するサポートフィンです。
サポートフィン(ボンザーとジンガーではテンプレートが違います)の役割はボンザーでもそうであるように、ターン全般でのレールホールド性の飛躍的アップにあります。
それがそのままジンガーでも同様の働きをするのですが、イートンさんのボンザー/ジンガーでは特にボード後半の深くて大きいスロット・コンケーブによる超低圧性とツインフィンの組み合わせに、ずば抜けたレールホールドをもたらします。


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さて、オラシム・シモンズへのバリエーションとしてジンガー採用はと言うと。

サンディエゴでのジョー・ボーゲスさんはイートンさんのショップ(工房・シェイプルーム)に合流し、ある日そこにイートンさんの旧友であるジョン・エルウェル氏が古い傷んだオリジナル・デュアルシモンズをレストア依頼のために持ち込んだことがきっかけで現代シモンズを生み出すことになったのは何度か紹介したストーリーです。
パドルボード(もちろんSUPのことじゃないよ)やカタマラン・ボートなどのプロジェクトに忙しいイートンさんは、その依頼をジョーさんに紹介し、それを引き受けたジョーさんはその仕事を通じて学んだオリジナルシモンズにインスパイアされたデザインの現代シモンズを生み出したわけです。

ジョーさんのシモンズはある事をきっかけに、サーファーたちに知られるようになるより先に多くのシェイパーたちにショックを与え一斉にフォローが始まりましたが、その騒ぎの後の今では以前よりもたくさんのサーファーがジョー・ボーゲスのシモンズがフォロワーたちとは全く違うとても画期的なものであることを知るようになりました。

イートンさんのリタイアとハワイ島への移住をきっかけにイートン・サーフボードを引き継ぐことになったジョーさんは、それ以前からイートン・サーフボードのデザイン・シェイプをトレーニングしていたこともあってその時点ではボンザーはもちろんジンガーにも精通していました。
それがシモンズへのジンガー融合という、ある意味自然な発想へとつながったのです。

オラデオロをエムズが扱う・ジョー・ボーゲス・シモンズ専用ブランドとしてジョーさんから与えられたエムズと、そのシェイプを担う佐藤英進はもちろんオラシム・シモンズにジンガーをバリエーションしています。

イートンさんのボンザー/ジンガーはサーファーがスタンディングするボードセンター付近の前足とボード後半後ろ足エリア/テール、それぞれの足元のボトムのとても大きな圧力差こそが、その強烈な高速性と同時に大変ポジティブな動きを生むデザインです。

オラシム・シモンズとジンガーでの組み合わせではもともとのキント雲的重力フリー感にプラス、さらに抵抗フリー感にまで動きの開放が拡大されますが、シモンズの大きなテールエリアにも上で説明した絶大なレールホールドが働きます。

それが、ジンガーです。