FURROW, 5'6" KNEELO、とりあえずクイックピックでご紹介。
速報ではありますが、ちょっと珍しい板なので掘り下げて見てみましょう。

　新品・未使用、オーダー主さんはワックスアップすらしていないのはもちろん、梱包を解きもせずしまったままこのたび放出です。

ニーボードとしてのオーダーでしたが、サーフボード・デザイン＆シェイプからのアレンジでプラットフォームはほぼサーフボードです。
ファローは製作者クリスティーンのパートナー、マニー・カロのデザインと似たモデルも多く、この板のプラットフォームはミニサイズのアークテール系を元にしています。

長さが短いのが当然というニーボードとして見ても、かなりボリュームに余裕があって幅も大きい。
ニーライドはスタンディングに比べて前後の体重移動幅が小さくなるので、ボード上の限られたライディングエリアで前後コントロールすることになることで、特にこの板のように広めのアークテールではボトムロッカーのレイアウトにスタンディングのサーフボードとの違いが見えます。

つまりテールロッカーが、この長さということを差し引いても、ボード中央部寄りのポイントから始まっています。
もちろんそれに合わせてフィンポジションも前よりにセット。

ボトムは穏やかなハルエントリーからプレーニング＆ライドエリアではスライトVEE、そしてそのテールロッカーの始まりと合わせてそれぞれのVEEパネルには控えめなコンケーブが施されていますね。
ライドエリアのスライトVEEはよくやる手で、パラレルにニーライドするライダーの左右のレールチェンジにスムース。


デッキロッカーはニーライドで違和感のないかなりストレートなもので、結果ボトムロッカーとの関係がそのままフォイルを決めることになっています。
デッキフォイルもクセを抑えた程度のややフラット寄りで、その結果デッキとレールの境目にはスライトエッジができています。

ちなみにこの峰を持つレールをチャインレールと称するケースもあります。
この板を見ていてたまたま先日あるお客さんから聞かれた質問を思い出したので、それと合わせて説明しましょう。
その方は某SNSのポストの中でチャインレールという説明文を見たとのことで、エムズでは以前からポピュラーなボトムのチャインと訳がわからなくなったようです。
PAVEL EASY WIDERやEISHIN TWIN CHINなどで好評のデザイン・シェイプですね。

そもそもチャインとはそれこそ峰そのものを表す言葉でもあり、そのお客さんの見たケースの板では明確なフラットデッキを用いているらしく、特にそのようなデッキフォイルの場合はレールフォイルとの境目が峰状にされることが多いのです。
これはデザイン上そうなった的な要素もうひとつ、ターンにおいて波に入ったレールのホールドエッジと同時にレールを抜く時のデッキ側のリリースエッジとして作用することを期待した積極的な理由がある場合。
あくまで一般的な話ですが、モロにフラットデッキの場合、レールフォイルの際までデッキのボリュームが維持されるので（これ、単に厚いとかいうところがポイントなのではなくて、その板の持つ前後左右を含めたボリュームバランス）デッキから見たレールの始まりはデッキレベルそのものになります。
ですからこの峰は波に入れたレールを抜く動きに移行する時の、キッカケを作りやすくする仕掛けとしてデザインされることがあります。

もちろんそれもこれも、どんな仕掛けやデザインもボードの基本的なデザイン指向から始まりトータルな調和が求められるので、何かそういった言わばデバイス的なものが施されていればそれで良しとはならず、いつものように良くできた板であることがキモですね。

そんなわけで、この5'6" KNEELOの場合でのデッキのチャインはニーライドでのレールtoレールをサポートする目的があるのでしょう。


フィンボックスのポジション、パッと見で前進気味です。上でも言ったようにテールロッカー自体が奥から始まることとフィットさせているのでそこはナチュラルでしょう。

そんなこんなのこの板のデザイン要素を丸ごとチェックしてみてスタンディングでサーフする前提で私が思ったのは、この板あえてフレックスフィンで乗ったらどうでしょう。
短い板ということもありますが、おそらく比較的クローズめなスタンスで、ターンもタメの沈み込みとリリースのリフトのコントラストを大きめにしたボディコントロールなんかが似合いそうではないかしら。

かなり固有のカスタムデザインの１本なので、ユーズドリストへのアップ前ですがいろいろ探って見てみました。