VELZY & JACOBS
2021.12.27

ハップ・ジェイコブスさんが12月18日に91才で亡くなりました。
すでにSNSなどで訃報に接した方も多いでしょう。

私たちにとってハップさんは、その昔デイル・ベルジーとパートナーシップをシェアした間柄という特別な人です。
その期間はそれほど長いものではありませんでしたが、デイルさんが私に聞かせてくれた話では、一緒にやっていた当時ハップさんはとても真面目な信頼できるマネージャーだったということでした。


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今日ご紹介するお話は約20年前、デイルさんとハップさんがおよそ40年ぶりのダブルネーム・コラボボード・プロジェクト。

ベルジーボードとリアルクラシックに通じたみなさんは、その当時私たちが詳しく紹介したのでご存知かもしれません。
ベルジーのデザイン・シェイプする板は、サーフボードが全てバルサで作られた時代にすでにベストと評価されましたが、このコラボボードはVELZY & JACOBS時代のベストデザインを二人が相談しながら再現したデザイン。

このカタチ、ベルジーが生み出したPIG系デザインを元にしたテンプレートです。
まさにトラディショナルの極みで、このようなデザインの板でサーフすることはロングボード・サーフィンの極致であり見本でしょう。

ラミネートも当時のVELZY & JACOBSダブルネームのシルバー・オーバルを再現。


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もう一つ、実はフィンにも注目です。
近年でもファンの多いハーフムーン系に属するものでもありますが、このアップライトなテンプレートとマホガニー単一マテリアルということは一見地味にも見せておいて、好き者を気取るならここまでいらっしゃいな、の幕か。

MGならTCとTDの違いというか、ハーレーならパンとショベルか。
いつものことで、比喩が分かりにくいと思うけど、そもそもが分かりにくいけど違いは軽くないってとこで了解されたい。

この時の集まり、お披露目パーティーは例によってドヒニーパーク、これまた例によってレジェンドのお歴々が大勢。
出来上がった板には、あえてシェイプ上がり時点ではサインをせずに、オーバル・ラミネートの下にサインパートを残しておいて、集まったお披露目パーティー参加者のみんなの前でデイルさんとハップさんがそれぞれサインを入れるという演出がサーフボード・ビルダーのステージで唸らせました。

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当時ごく少数が製作されたこのコラボボードは、やはり少数ながらエムズから日本のトラディショナリストにもお届けしました。

JACOBSブランドは歴史のいっときには途絶えたこともありましたが、その後ハップさん自身の手によって再興され現在はファミリーがケアしています。

1950〜60年代初頭にサーフシーンを押し上げたいくつかのブランドには、我々が知っておくべき重要な意味があります。
それはそれらのサーファー・サーフボードビルダーたちの作った板たちの以前には、似たものがあったのではなく彼らが全きにクリエイトしたサーフボード・デザインであるということです。
そのようなサーフボードでサーフするというアクションが、またこれから始まることになりそうです。

ハップさん、REST IN PEACE,
南無阿弥陀仏

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