ファンタスティック・アシッドのトリスタン・モース、最新のプロジェクトです。
非対称(アシンメトリック)ディスプレイスメント・ハル。
少し前にトリスタンはアイデア・スケッチを添えてこのアイデアを聞かせてくれました。そこではブランクにプロトの1本目のアウトラインを引いた写真も送られてきました。
この板のアイデアの根本には通常のアシッド・ハルを非対称にする、基本的にフロントサイドとバックサイドのカーブ変更というアプローチとは全く違って、非対称を採用するあたっての要求ポイントの洗い直しがあります。
つまりディスプレイスメント・ハルの最も濃いところを最優先するのであれば、非対称は特に要らないよね、と。
どんなデザイン要素でも、それを採用するからといって求める優先事項は同じとは限りません。非対称デザインも同様で、非対称を採用するからには狙いは一つ、とは限らん。
と言いたいところだが、非対称デザインの場合はどうしてもマニューバー性においてフロント&バックの異質さをできるだけ埋めたいというというフォーカスにならざるを得ない。
だってすでにサーファーは長年にわたって対象デザインのサーフボードでサーフィンして、フロント&バックそれぞれのターンはそもそも違うものだから。それがサーフィンなんだもの。
ここに非対称デザイン・サーフボードの可能性があるんである。
もちろんそれが、これからのサーフィン界の近未来にどれだけサポーターを生み出しポピュラーな存在になるかどうかは別として、ですけれど。
そこで今回トリスタンの、ディスプレイスメント・ハルの非対称である。
うんと視界を広げて、ディスプレイスメント・ハルにマニューバー性を求めた場合もハル・フィーリングのメニューはいじったり薄めたりしたくないもんです。
ここはまず、それでいい。異議なし、と。
だけどそこに非対称というテーマがぶら下がってるとなると、頭を柔らかくしてそれぞれのサイドのターン性とそのトランジション(切り替わりの機能的な連続性でしょうかね)のマニューバー性に革新的な違いでもないと面白くない。というか、考えてとかじゃなくていかにも自然にそこに進むところがフレンチか。
てなわけで、プロトではありますが、とりあえずご覧の写真のような板が姿を見せました。
非対称に踏み込んだ以上は上で書いたようなターン性の違いを求めるのだから、レギュラーなアシッド・ハルが持つターンのリリース感が同じである必要が無い。
つまりターンの感触よりも回転要素に主食の乗り換え。
ボトムデザインから見ちゃうのが、話が早い。
ボード前半分はターンなり操作の前半を決めるディスプレイスメント・ハルのエンジンである、ディープなベリーである。
そしてボード後半は、ほぼ見たことの無いくらいのコンケーブとレールデザインのコンボ。
ダウンレールでもローレーラーでもタックトアンダーエッジでもない、もっとずっと色気のある洒落た曲面形状の集合である。
ボード左右のテンプレートとアウトラインは大胆に別物同士の組み合わせ。
おそらくそれぞれのレールフォイルとミートのボリューム調整には秘技があるのであろう、と想像されます。
トリスタンの話と合わせてスケッチを見ても、フィンセットアップにもチャレンジが見えます。
やあ、これは面白い。
すごく刺激的。
トリスタンの波乗りリポートが楽しみです。
@番外
音に例えれば、ペンタがちっともカッコ良くなんないで暗くて寒い海が見えちゃう手クセ回しグセとは別次元、あくまでフィーリングとグルーブは豊富で陰影も華も景色のある旋律の集合のような。
手クセ回しグセのカッコいいのが、これがまた通だけど、滅多無い。
分かんねえこと言っちゃって。どうせ番外、まあそんな感じ。