ファンタスティック・アシッドのナキリフォイル
2025.10.11

10月7日にポストしたアシッドのハルの話の中でナキリフォイルについて触れたら、たまたまぜんぜん別なお話で電話をくれたお客さんが二人、揃ってナキリフォイルについてたずねられたので、今日はそこんとこを再度ここで。

ナキリフォイルはストックボードの説明文やいつものここで何度か説明していますが、ディスプレイスメント・ハルのテールエリアに与えるフレックス性とツイスト性を通常よりも強調したファンタスティック・アシッド独自のフォイルです。

具体的には、ボード後半テールに向かってデッキ側がかなり薄くフォイルされたデザインです。
そのことによってテールエリアの動的特性をより強く引き出す狙いです。

あ、簡単じゃん、で済ませられないのは、そのデッキフォイルとその板(のアウトラインや長さ、ボトムロッカーなど)全体の諸要素とバランスされなければいけないので、板全体のフォイルデザインがそれを前提としてビシッと決まっていなくていけません。

そういうことですので、もちろんそれらのデザイン要素が高い次元で調和しシェイプされているアシッドのナキリフォイルを持った板たち。
もちろんこのフォイルはストックでもカスタムでも選択可能なバリエーションですから、レギュラーフォイルとナキリフォイルとどちらが良いとかお勧めとかいうことではなくて、好みや求める感覚によって選ぶことになります。

ハルのフレックス性・ツイスト性、それは波によってその動性の強度が変わります。つまりパワーがあったりサイズが大きかったりすれば動性は大きく作用します。
ということは小さい波やパワーのない波ではその作用も小さくなるわけです。
もちろんそこ、単に波だけに制御されるのではなく、乗り手の操作やフィン選択などでも違いは小さくありません。

ですからナキリフォイルもハルの持つそのようなテールエリアの動性を、ある程度積極的に引き出す操作がされることはその働きや感触をより強調します。

上で大きい波・小さい波、という大雑把な表現をしましたが、ナキリフォイルは私たちにとってのほとんどのコンディションをカバーするものです。

でまあ、そう話すと難しく聞こえるかもしれませんが、すでにハルが楽しいと感じているサーファーや少なくとも楽しそうだなあなんて関心があるサーファーには特に難しいことじゃありません。


251010_NAKIRIFOIL.jpg
で、7日のポストでも話したことの中に補足する話を今日はしておこうと思います。

この写真はライトと陰のコントラスト強調してありますが、テールやノーズの薄さから想像されるよりもボードそのものの厚さは大きくて浮力も大きいものです。

ハルのテールエリアに与えられているフレックス性・ツイスト性の動的性質はターンのピークかたパワーリリースで働きますが、ナキリフォイルはまさにそこがより強調されます。
その時何が起こっているかというと、言葉通りテールはフレックスしてツイスト(ねじれ)しているわけで(もちろんブニョブニョではないね)、ということはテールロッカー量が加えられ、レールラインのロッカー量もさらに加えられる状態になりますね。

さらにハルにおいて(一般的に)重要なのはエンドに近いテールエリアの面を使う意識です。
それらがバランスして働くとターンからの脱出・リリースにはハルだけのスナップやドライブが得られるのです。

そしてもう一面、視点を変えてみると、テールロッカー量(ねじれによるエッジラインの変化も)が変化してより強くなると、強調操作がされると板が短くなる。
いやこれ、ほんとに短くなっちゃうんじゃなくて、操作によってより短いもののラインも得られるということ。

これがね、ほんとに面白いんです。
コントラストと速さをを加えた操作ではびっくりするほど軽快に速い動きをするし、板前方のレールから意識して使ってテールに伝わる板の踏み感をじわっと大きく操作すれば例のハルスピードと前に吸われるように伸びるフリーなペネトレーション。

そんなふうに板の"へんげ"がとても大きい、そしてそのいちいちがハッピーなのがナキリフォイルの特長です。