魂に手向けて、ドジさんへ
2025.03.01

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今日からもう3月、とても暖かい週末です。みなさん、どこかいい波でやってますか。

今月最初のポスト、このロゴ・ラミネートとほぼシェイプの上がった板。
山王グラッシングの親方、高橋健次のブランドOZ名義の1本です。OZはカスタムオーダーへの対応を基本としていますが、健次自身のデザイン研究のために色々なシェイプを試します。
この板、その1本。

テーマはEATON LB このデザイン・シェイプはずいぶん前から何本か繰り返し削っていますが、健次最近思うところあってというかまたこのデザインに新しい発見があってそれを再解釈してアップデートした板を削って見なくちゃいかん、と。

マイク・イートンさんはすでに亡くなってしまったけれど、サーフィン・サーフボードの世界に大きな影響をもたらしました。

EATON surfboardsはイートンさんが亡くなるまでエムズと私が輸入元を務めさせていただきましたが、当然私自身も熱烈なファンです。

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今日紹介するこの板もEATON LBのスタディですが、健次も私も元板を所有しますしそれぞれその板のサーフィンに大きな影響を与えられている素晴らしいシェイプなのです。
その時々の上辺の流行りデザインやサーフィンとは距離を置いた、というよりもそういうものの先に存在するデザイン・シェイプ。
サーフィンの"ど本質"を楽しませてくれるシェイプ。


そして今日お伝えしたいもうひとつのストーリー。上でも触れたOZの新しいロゴ・ラミネート。

目新しさはありません。
いつまで、とか説明することじゃないけれど、作り手やそのクルーが手起こしで描いたりデザインしたロゴたちの香りです。

このロゴ、3年前に亡くなった井坂啓美氏ことドジさんのロゴを元にしています。
シンプルな円の真ん中を横切るベルトに乗せた銘柄とその下に添える作り手の名乗り。

ドジさんのロゴの中をOZとKENJI TAKAHASHIに入れ替えたものです。
このアイデアは健次がドジさんに手向けたものです。

ドジさんは茅ヶ崎のレジェンド、そして当地最古のサーフクラブ・バーバリアンズ設立者、日本最初のリアルなプロサーファーで日本サーフィンの初代チャンピオン。
一人で世界に出て道を開いたサーファーです。

流行り廃りにまるで左右されず、いつも自身のアイデアと言葉とアクションを明るく楽しく表現するサーファー。
そういうパーソナリティは何事もボリュームとセットになるメディアとはフィットしない部分もありましたが、一方でいくつかのメディアや自身の発信によってとてもたくさんのサーファーたちにドジさんのアイデアとノウハウは影響とサポートをしたのです。

健次も私もほんのガキの頃からこの業界でやらせてもらっていて、その頃は少し年上の先輩はもちろんすでに大物の先輩たちは近づき難かったものですが、中でもドジさんは寄るな触るな的な威圧感が無くていつもなんだかウエルカムな空気で気が楽でした。

70年代初頭には初の自身のサーフボード・ブランドになるコスミック・サーフボードをスタート。
サーフボード・シェイプをスローダウンしていた時期の後、亡くなるまでの10年ほどは高橋健次の山王ファクトリーに度々足を運んで見事なシェイプをしました。

そのドジさんの板・シェイプは何人かの諸先輩、レジェンドクラスのトップサーファーからも、"ドジの板が一番調子いいかも"という声も聞かれたりするほど。

ドジさん、亡くなる前の数年間に自身の集大成的なデザイン・シェイプを、それも何気なく手がけていて、健次はグラッシングだけでなくデザイン・シェイプ過程を共にしていてそのデザインを共有することになりました。
それはもう素晴らしい板。

健次はこのデザイン・シェイプもさらに前に進めなくちゃな、と言ってます。

そういうわけで健次、ドジさんのロゴを引き継ぐことにしました。
最初にこのロゴをラミネートするのは、この板?

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