さらにリポート、リッピング・エッグ
2020.11.10

ここのところ、リポートをちょくちょくポストしています、このモデル。

くどいようだが、ダイナミック・デュオ、またの名をリッピング・エッグ。だって張本人のリッチがふたつ名で呼ぶもんでね。

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最近だと、10月29日と11月7日にリポート(よかったらチェックしてみてくださいね)。
その10月29日のリポートで紹介したこの板は、友人のリクエストでカスタムした7'4"。
フラットボトムがベースのこのモデルですが、長めのカスタムの中にはボード中央部辺りからフィンの間に通す短めのコンケーブを追加したものもリッチは削っていて、この板もその一つ。
で、特にこのモデル、フィンのポジションでかなりキャラクターのバランスが変化するはずなので、友人のこの7'4"をテストピースにフィンポジションをチェックしてみているところなんです。

さて、どこかで何度か書いたんですが、このモデル、と言うか70年代にそのオリジンを持つデュオは基本的に"2本のフィンを持つシングルフィン"という、ちょいと禅問答のようなコンセプト。
実際、シングルフィンを扱うようなとても基本的なターン動作に、まずはスムースに応じてくれます。

ところが面白いことに、やっぱりそこには2本のフィンが存在し働くので、ターンの内方向への回り込みや上がりがすごく積極的。
同時にシングルフィンと同様に常にレールとフィンをセットで扱う意識の操作を、この板は好みます。
さらにもう一度言い加えると、シングルフィンとは別物の孤の深いターンまで深回りするのです。

さてこの板、先日の最初の波乗りでは最もベーシックなポジション(友人はボックスの横っちょにポイントを書き込んでいたので便利)でそのままトライ。
波は腹からもうちょいくらいの、ちょっと割れかたの読みづらい波。
このフィンポジション、この波での感触はフロントサイドではもろにシングルフィンのベーシック。大きめの操作でターンを前に伸ばしてやるのが板からのお告げ。
逆にバックサイドでは上がりの速さ(これもこのモデルの特長です)が際立つ。
ぜんぜん違和感はないけど、フロントとバックのキャラ変か?、とも思ったけど、いやいやたぶん単に私の乗り込み不足かと。
ただしとにかく速さが極上で、その朝はそのまま終了。


で、今日。
次はフィンを前に出してみて試そうと思っていたので、2cmばかりフィン前進。ちょうど前ピン(ネジ、ね)のフィンなのでボックス(このモデルではリッチはミディアム・ボックスを指定)の前詰めに。

今朝の地元の波は腰からもうちょい。いつものようにブレイクは様々なれど、いいのに乗るとこれが意外と岸まで走ります。

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このフィンのポジション変えは、やはり、板を激変させました、ビックリ!
ここから先、好みがあるので良し悪しじゃなくて、違いの話。

当然ながらシングルフィンの決まり通り、レールとフィンをセットで操作する意識には変わりないものの、とにかく同じ操作量でターンの回る深さが倍くらい(大げさだけど)違う。
何しろ腰くらいの波なので、ちょっと上げたつもりがトップへ、下を回ると思ったところよりもっと下を回ってきます。
おや?、と思ってさらにその振幅を大きくしてやると、板に乗っていられる一杯一杯まで深く上がり下りして回ります(大げさだけど、まあそんな感じ)。
しかも前に出るのもすごく速いので波さえ続けば、小さくて速い波の岸まで簡単に乗り切る。

板のデザイン・シェイプがリッチ・パベルの魔法なのは当然で、どんなモデルも全く違うサーフィンを仕込んであって、それはサーファー次第で楽しめる深度は変わります。
デュオ・デザインは一方で、物理的に2本(2本フィンボードとしては)の大きめのフィンが実在し比較的狭い(通常のマルチフィンボードと比べて)間隔でセットされるので、パワーとサイズのある波以外でフィンの間に水を抱えて動きを重くしてしまうという可能性がありますが、リッチ・パベルはこれをまったく解消してしまいました。
今日のフィンセットと波で、?連発の操作と動きの軽さに、また驚かされました。

ここでね、私、ふっと気がつきました。
このモデル専用にデザイン・製作しているフィンのちょいとした秘密。
いや決して秘密ではなくて、確かストックやモデル紹介で説明しているはずですが、このスペシャルフィンは通常のシングルフィンの50 / 50フォイルとは違い、60 / 40フォイルにされています。
いや、もっと厳密に言うと、55 / 45くらいか。

このモデルの場合、ここはもう通常の50 / 50フォイルのシングルフィンとは激烈に違う要素です。
リッチはそれぞれの板にセットするフィンに本当にうるさいのですが、よく考えりゃ当たり前。フィンは単なる後付けパーツじゃなくて、まったく板の一部。

ですからフィン位置をわずかに前進させただけで、オフセット・フォイルされた回り込む性格はフィン位置変化量以上に強調されるわけだ、と。なるほど!
いやもう、ホントすごいですよ、小さな波でそのたったUPs & DOWNsが、例えばスノーボードでの左右のカービングの繰り返しみたいに切れ上がってくるような感じ、本末が逆みたいな話だけど。


フィンセットを変えた2回の限りでは、サイズのある波やターンの大きさを優先するならベーシックなポジション、普段の波で活発でユニークなカーブを楽しみたいなら前か、と。

もちろんこれはですね、同じ板でもサイズやボリュームやフォイル、そして乗り手の乗り位置と操作スタイルによっても選ぶポジションは変わるはずです。

あと三つ試してみたいポジションがありましてね、次はオフセット(左右をずらすのね)か、ベースポジションよりも後ろ揃え、のどちらかを試してみます。

私、お客さんにこの板をお引き渡しするときに、フィンポジションいろいろ試してみてくださいね、とお話しするのですが、みなさんぜひお試しくださいよ。面白いから。

カスタムオーダーいただいている皆さんも、どうぞお楽しみにお待ちください!