先週末は、
2018.07.10

梅雨も空けてビーチではイベントも多く、みなさんからはサーフトリップや週末サーフの話題もいろいろ聞こえてきました。

先週の日曜日ウチの地元の近所、辻堂ではマーさんことマーボーさんの名物イベント、"マーボーロイヤルカップ"が盛り上がりました。
我らが山王ファクトリーの健ちゃんもマーさんとの浅からぬお付き合い、ってんで顔を出しました。

その健ちゃんがそのイベントから戻って早々、私に電話をくれた。
そのコンテストの中に、今年はちょいと面白いカテゴリーがあって、主催者が用意した古いロングボードでサーフするというクラス。
板はビンテージクラスで、どの板に乗ることになるかはくじ引き?、らしい。

健ちゃんが注目したのは、レディースクラス。

そのクラスに参加した、あるシェイパーさんの娘さんがとても洒落たサーフィンをしていて、しかもその彼女が引いた板がとてもいい走りをしていてビックリした、っていう話。

実はその板、つい先日、健ちゃん自身がレストアを完成させた板。
日本のサーフィン界のレジェンド、"ドジさん"が健ちゃんにレストアを依頼していた板で、ドジさんご本人が若い頃から大事にしていた"アーニー・タナカ"。

もちろん私もファクトリーでのレストア作業中に何度も見ていた板ですが、持ち込まれた状態はかなり"キテる"状態。
私もビンテージ・サーフボードをあれこれと楽しむので、いろいろなコンディションのビンテージボードを見てきていますが、ドジさんの持ち込んだその板はレストアして実際の波乗りを楽しむまでに修復するにはギリギリに近いコンディション。

ところがさすが健ちゃん、見事な技を駆使してイベントの数日前にそのアーニー・タナカは見事によみがえりました。
で、ドジさん、古くからの友人であるマーさんのイベントのために大事なアーニー・タナカを貸し出した。

当日、イベントでその板と彼女の波乗りを目撃した多くの目利きの人々の話を伝え聞いたところによると、その彼女とその板は"一番"だったらしい。

レストア中のファクトリーでもその板、すごく良いロッカーが目を惹いてた。
健ちゃんも、"このロッカー最高にいいよ!"、と話題になってたところだったのです。

そしてその彼女、とてもナチュラルなアプローチと波乗りが光っていたそうです。

ドジさん、現在の日本のサーフマーケットでは特にサーフボード製作者としての活動をされていないようですが、しばらく前から自分で乗る板や周りの人のための板を少しずつ削ってる。
ある日突然、山王ファクトリーに現れたドジさんは健ちゃんに、削りたいからシェイプルームを使わせてもらって削り上がりの板を巻いて欲しい、と。

180709_DOJI.jpg
ドジさんが削る様子を何度か見学した健ちゃん、"やっぱすごいよドジさん!"
"見なよ、板!"

不肖、私めもそれらの板をよくよく見せていただくと、今風の仕掛けや目立つデザインのない、シンプルですべてが整ったラインが集合した板のカタチがありました。

でね、実はその板を見て私、リッチとも話題になった。
"ローラン・イエーターの板を見た時の驚きと一緒"、"俺もね、そう思ってたのよ!"

そういう板を削るドジさんが若い頃から大事にキープしていたビンテージボードが今また、若くてナチュラルな才能の波乗りによって光る、ってのはサーフィンの最高なモーメントのひとつです。