彫刻、トリスタン
2026.01.26

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少し前のポストでも紹介した話、トリスタンが取り組み始めた彫刻。一作目が出来上がって写真が届きました。

サーフボード・シェイパーやサーファーの中にはいくつかのアートワークやクラフトワークにも才能を持つ人がいます。もちろん特にレベルが高くなくて、楽しむだけでも。
絵を描いたり音楽を演奏したりウッドワークしたり車やバイクをいじくったり、その他にもいろいろあるね。

以前からちょいちょい紹介しているけど、トリスタンはアブストラクトなジャズをサックスでプレイする。いろいろなテーマ(主にサーフィンとサーフボードに関わるものね)で本を書いたり去年は1年かけて新聞を発行してそれを本にまとめたりという、それそのものが表現活動というアートワークだし。

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トリスタン曰く、サーフボードシェイプに似ている、という彫刻。
そこに踏み出すきっかけは、ジョン・ルー。ジョンはビアリッツで最も古くからのサーフボードシェイパーで、60年代後半にはハワイに渡り70年代前半のハワイを象徴するアイコンの一つであるライトニングボルトの主力シェイパーの一人としても活躍した。

以前、ジョンの作る板を紹介しましたね。私も1本作ってもらいました、その彼のラベルの銘柄は、サーフボード・テンプルボール。なんとまあ純度の高さを象徴しています。

のちにビアリッツに戻ってからもシェイパーとして活動して、現在でも主に彼のハイライトとも言える70年代のデザインを磨いたシェイプをトリスタンのファクトリーで限られた本数のみを製作する。
その一方で絵画や彫刻家としても活躍していて、彫刻は結構な大物がすごい。

そんなことだからきっと、トリスタンが彫刻に取り掛かることになったのも自然な成り行きなんでしょう。
トリスタンは、ジョンに手ほどきを受けた、って言っていたからね。

そして最初の作品は、なんと石灰岩の塊をファクトリーに持ち込んで外の空いたスペースで大胆に取り組む様子。ちょっと離れた所からも見ながら制作を進められるのだね。

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世界中のどこでも表現された素晴らしい事物を見ることができるし、もちろん日本には他には無い日が多くあります。
私たちは波乗りを通じて知り合ったり友人になったりした人々とそれらを共有することが多いのですが、そういう関連で見るとビアリッツの辺りはその純度が見ていてこちらもストレートに上がる。
なんだろ、コマーシャリズムの匂いや影との距離感が素直に楽しめる感じ。

そのトリスタンは日本の俳句や文学、日本の自然との関わり方や歴史、そういったものを広く学んでいる。
その中に、柳宗悦らが主導した民藝運動があって、これは私といろいろ話し合って盛り上がるお題なんだけど、ここで言う用の美は日本が忘れちゃならんというか日本のクオリティの精神的支柱なんじゃないかと。
権威的な評価と価値づけは何も日本だけじゃなくて、少なくとも資本経済が発達した社会ではどこでも見られる現象だしそれ以前の美や機能美もあるんだけど、大正時代にそのある意味ビフォー権威をケアしようという動きの高まりは紛れなく美しい。

そこに着目するトリスタンの感性もすごいよ。
そういう奴が作るサーフボードだから、波乗りの感動があるんだね。