KENJIのフラットボトム
2025.08.15

250804_OZ94_1.jpg250804_OZ94_2.jpg
山王ファクトリーの親方、健ちゃんこと高橋健次 PAVELやFantastic Acidのグラスワークを超ハイクオリティな技で担っています。
その作業の間にはから自身のオーナーラベル・OZ surfboardsのカスタムオーダーをこなしますが、来月のリッチ・パベル来日製作を控えて調整してきたスケジュールの余裕の間に彼の研究プロジェクトが進みました。

その板がこれ。
この板にまつわるストーリーは以前にも何度かお伝えしていますが、その元になるのは亡くなったドジさんの遺した1本の板。
それはとても良いアウトラインを持ち、レールやボトムのデザインのエレメントはクラシックなもの。
その板をもとに健ちゃんはブラッシュアップを試みていました。そのトライからは少なくとも普通によく聞かれる"調子いい!"は軽く超えるくらいの良い結果を得ていたものの、健ちゃんは何か足りないものを感じていることを私に伝えていました。

で、先月から今月の少し時間に余裕を得た健ちゃんは、ハタと思いついたアイデアを実行に移した。
それは先月の初め、健ちゃんはいつもの彼の調子で、"三井さん、分かった、フラットボトムだよ!"、と。
健ちゃんいわく、"前に三井さん言ってたじゃん、フラットボトムだよって"、それ思い出して閃いた!
何年か前だけど、いつものようにファクトリーで健ちゃんと板の話をしていた時に、私はもう40年近く前に持っていた1本のフラットボトムのちょっと変わった板のそのとんでもなくナチュラルなフィーリングを思い出してそのことを話して、"絶対試した方がいいよ"なんて言ったんでした。

つまりドジさんの遺したこの見事なカタチ、それは色々なデザインエレメントとの組み合わせの可能性に優れたドジさんらしい玄人のもの。
健ちゃんはこのカタチに徹底的に正しいロッカーとフォイルを調和させた上で、デッドフラットなボトムを削り出した。

サーフボードに求められる基本中の基本、速さ・滑らかさ・操作と動きの簡単さ、これらがパドルからライディングの全体にわたっていること。
健ちゃんのアイデア、この板で実現しようとしたコンセプトの最大のメリットは、その基本中の基本がサーファーのわずかな間違いをサポートしてくれるその幅が広く大きい。
当然それは波のさまざまな欠点にも働く。
サーファーの間違いは実は波乗りの間中繰り返されていて、一番わかりやすいのは波のキャッチやエントリーで起きてる。

で、健ちゃん、アイデアが整うとすぐにシェイプしてグラス。
出来上がった板は程なく波乗りへ。その第一報は彼らしい、"最高!"

だもんだからその後はあちこちで試してます。
板いいと波乗りしたくてしょーがねえよね!、ですと。

私も近々、波乗りさせてもらいます。