

デイルさんから最初のPIGを作ったのは1955年ごろだったという話を聞いたのは25年とちょっと前の事だったか。
私自身はそれ以前にもいくつかのサーフボード・デザイン史について書かれた書物で、およその説を知っていたけれど、その時にデイルさんから直接聞いた。
もちろんその頃はサーフボードのマテリアルがバルサだった時代で、もう少し後の50年代後半になるとウレタンフォームが広く試され始める、その前。
その話には嘘みたいなホントの話が混ざっていて、何しろその時代はいわゆるCHIP / MALIBU CHIP、あるいはその亜流デザイン&シェイプがサーフボードの主流。
デイルさんのその最初のPIGをラミネート待ちのラックの中で見た職人は、ボードの幅の広い方のエンド近くにマークされたフィンポジションを見てデイルさんが板の上下を間違えたんじゃないかと思った、と。
そのくらいPIGのカタチは衝撃的だったわけです。
デイルさんのデザインした板たちの多くはPIGのコンセプトをどこかに持つものも多いけれど、2000年を境にした頃にあらためて新しいPIGをデザインした。
それはアウトラインのコントラストが強調されたデザイン。
それはカリフォルニアも世界的にも頭のデカいノーズライダーがロングボードだと多くのサーファーが思い込んでた頃、とはいえ勘のいいサーファーはこのVELZY PIGに反応した。
私個人的には自分の所有するいくつかのVELZY BALSAは基本どれもPIG系のものばかりだし、その時デイルさんがウレタンで製作するためのPIGを作ったのでもう嬉しくて紹介していたものです。
もちろんエムズは色々なVELZYボードのラインナップにPIGを加えてインベントリーしました。
さてそんなふうに色々な人たちに話している中にサーフィン誌の編集者さんなんかもいて、じゃあPIGの話を1本書いて掲載しましょう、なんてことも2度ほどありました。
そういったサーフィン誌の記事も含めてエムズのサイトでも何度かPIGの話を書くにつけ私が繰り返し伝えていたのは、実はPIGは現代サーフボードの基本的な機能性を多く備えたデザインとコンセプトであって遠くない将来はたくさんのサーフボードがこのコンセプトに影響を受けたりそれが反映されることになるぞ、ってな事。
まあ、私の話の場合は興味を持って読んでくれる皆さんに向けたものだけど、それこそ随分前にドナルド・タカヤマさんも現代のサーフボードは全部PIGが基本だぞ、なんてことをインタビューでも話していたからね。
それは狭い視野でロングボードを括ったことじゃ無くて、見てごらんショートボードだってそうじゃないか!、とも言ってました。
それはそうとして、さて現在の様子を見渡してみましょうね。
ミッドレンジのバラエティにもPIGの影響を受けたカテゴリー(という説明は嫌だけど)が確立されてる。
そしてロングボード見てみて、これがまた流行りにやられやすいカテゴリーではあるけれど、どれもPIGインフルエンスなカタチばかりでしょ。
あれほどPIGに対して???してたロングボーダーたちはロガーと名を変えて、見事にみんなで同じサーフィンしようとしてるじゃないの。
いや、それはそれで理にかなったことの流れでもあって、以前のようにでかい頭と止めるノーズコンケーブで止めて上げるスローなノーズライドから、WHIPなターンからシェイプのあるスピーディーなセクションをトバすノーズライドにガラッと変わったでしょ。
そういうアプローチでは出されにくいノーズと、フックして水を乗せるエリアのあるテールが機能するわけだ。
どこを見てもVELZY PIGのコンセプトがいろんな形で働いています。
もちろんそれらを含めて色々なサーフデザインを楽しむことが何より。
で、一方でそれだけ多くのものに影響を与えるほどのサーフデザインならば、そのオリジン体験はスペシャル。
それはオリジンへのリスペクトということよりもむしろ、サーファーの感性を連れて行ってくれる処が違うがその由。
ところで、洒脱はどこだと見るなら、こっちかな。
















