おもしろいんだってねぇ!
2022.05.01

ちょっと前ですが、トリスタンから届いたリポート、FISH HULL

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 以前この板について書いた時にもお伝えしましたが、フィッシュ・ハルと名付けたそのフィッシュってところは言葉通りに聞こえるそのまんまFISHとは違う。
わかりにくいようだけど、そこがサーフィンとサーフボード・デザインのユニークなところで、同じワードがぜんぜん違うフィーリングに行き着くこともざら。

サーフボードを"乗り物"と呼ぶのを耳にすることがあって、それ否定はしないけど、私たちの嗜好する楽しいなあと感じるサーフボードたちはどちらかと言えば波の一部分のようなものです。

この板、スプリットテールの持つキャラクターの中でもフレックスを最大限に活かしたサーフデザイン。
2分割することで細身になった2本の長いテールエンドは、ポイント、つまりピンではなくてミニラウンドとしたところがフォーカスどおり。
だからテールに加わる水の力をめいっぱいフレックスに置き換える、というわけですな。

さらにフィンはハイトを小さくベースを増やして思い切りフレックス、と。テールのツイストは割れ目の長さでどっさり生み出すのでハイトの大きいフィンで捻ってもらう必要はありません。
この長いテールにポジティブな水流を送り込むのにフィンのピボットで先に回っちゃいかん。
この長いテールは思い切りフレックスするんだから、つまり特に波側の主役の方のテールロッカーが盛大に変化することとそれによるボード後半のツイストがこの板の回転性とか動きの感触の正体であるからして、フィンが先に勝手に回転に出しゃばってはいけません。

そんなようなこの板の感じを敏感に感じ取った人たちが、この板面白そう、ってなるわけです。私もその一人。

波乗りの写真を見てみましょう。

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このボトムターンでは、ほとんど波側のテールとフィンがターンの弧を制御しているでしょう。もちろんボード前半はたっぷりとディスプレイスメント・ハルしちゃってます。
水から出ている方のフィンは内側からきた水をきっちりリリースしています。
そしてボトムに降り切るちょっと前のトラックの変わりようが、この板の動き感を見せていると思います。

で、ハイラインのドライブの方。
トリスタンの少し後ろのリップが飛び始めているところに見えるトラックは、その前のセクションからハイラインをドライブしてきたのが分かりますが、そこんとこでひとつピョンと、いかにもクイックなトリムを入れています。なんでそうしたのかは分かりませんが、おそらくそこまでのドライブにもういっちょはずみをつけてその先から下に降りる勢いを足してやろう的な流れのように思われます。

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まあその、学者さんの真似したいんじゃなくて、注目したのは小さいけどいかにも素早いトリムの直後がすかさず伸びているラインです。
見逃してしまいそうなとこなんですが、この操作への板の反応の速さと、それだけじゃなくてその直後の速さの出方にテールのフレックスとスナップの効きめが見えています。

トリスタンが、このテールです!、てな感じにドヤってる(のかな?)気持ちが伝わってきます。